4: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/11(土) 21:13:36.21 ID:RjIOA7Qm0
それは、綺麗だった。
それは、神秘だった。
ミラ「カケル! よーく見ててね!」
不敵な笑みを浮かべるミラに、瞬間、なにか、身震いをしてしまうかのようなゾワっとした悪寒が走る。
異様な気配を感じ取り、俺は金縛りにかかったように足が動かなくなった。
カケル「(ま、まさか、またなのか⁉︎」
額や胸、背中から汗が吹き出す。鳥肌が二の腕を走る。
見る間にぐっしょりと濡れそぼった掌を服にこすりつけながら、俺は喘ぐように後ずさった。
――リンリンリン――。
――リンリンリンリン――。
耳が、というより脳がキーンと痺れるほどの鈴に似た音が近づいてくる。身体にフツフツと鳥肌がたちだした。混乱する思考のさなか、その気配の異常さを正確に捉えていた。
こいつはいつも、そうだ!
持て余し気味の力を披露する時にいつも、やりすぎる!
気配は秒刻みで、確実に迫ってきている。
絶望的な未来を直感してしまうほどのただならぬ雰囲気のする方角へと気づいたときには凝視していた。
――そして、豪炎が、世界を揺るがした。
カケル「うっ……!」
そこからは、スローモーションを見ている感覚だった。
身体は宙に投げ出され、視線は虚空を見つめている。
烈風が俺を襲った。
もがくように反射的に踏ん張ろうと腿に力を入れるが、どうにかなるものではなかった。砂利を巻き込み壁に叩きつけられる格好でようやく勢いは止まる。
カケル「がはっ!」
肺に停滞していた二酸化炭素が、衝撃で吐き出され、数秒の絶息が襲ってきていた。俺は搾り出すように嗚咽の言葉を吐いた。
カケル「お、ぇ、おぇぇ……」
吐き気を催し、よだれが糸をひく。這いつくばった不自然な姿勢のまま痛みに呻いた。なにをしているのか意識することもできず、軽い脳震盪でぼやけた視界の中、俺は信じがたい景色を眺めていた。
ドォンッ!!
と、火山が噴火するような爆発音と共に、視界いっぱいに天を貫かんとばかりの巨大な火柱が、前方の数メートル先に現れていたのだ。
カケル「(こ、これだから、こいつに付き合うのは嫌なんだ……っ!」
口の中を切ったらしく、否応なしに鉄の味が舌に絡む。
ミラを取り巻くように荒れ狂った光景は、辺りの景色を紅蓮の炎で焼き尽くし、周囲を真っ赤に染め上げてゆく。
ミラ「どぉ⁉︎ 凄いでしょ⁉︎」
よろよろと立ち上がり俺は息を呑み圧倒的な光景を唖然として見つめた。
まるで、神々の怒りか、はたまたこの世の終末を彷彿とさせる荒々しさだ。
カケル「……うん」
今すぐに、この場を離れ、まっすぐ行けるとこまで走っていきたい。すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られているのに、足が動かない。
おまけに口下手な俺の言葉に気を良くしたミラは満足気に頷いていた。もちろん、お察しの通りの、満面の笑みで。
ただ、呆然と、なす術もなく見つめるしかない俺にミラが軽やかなステップで近づいてくる。
ミラ「また新しい魔法覚えたら見せてあげるね♪」
その声はまるで死神の鎌のような禍々しい鋭さを宿して俺の耳朶を打つ。
カケル「(誰か、誰か俺の幼馴染をなんとかしてくれ)」
これが、俺の毎日だ。
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