62: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/03/23(木) 13:27:12.68 ID:7IE/7chP0
――“死”
現実味のわかない単語が頭の中で浮かんでは消えていく。それを悟らせるほどの圧倒的な力。
しかし、そうはならなかった。
物が崩れる破壊音の中、もくもくと煙のように立ちこめた粉塵が次第に晴れてくると、光が一点に集まり、収束していた。俺たち三人は、呆然と立ち尽くす。ぽかん、と口を開けたままその光景に一時停止していた。
トモエ「うふふ」
輝く極大魔法がトモエの右手にボールの形を淵作り集合体になっていた。
カルア「う……うくぐっ……!」
振り下ろした杖を伸ばしている腕はプルプルと震え、デコには血管が浮き上がり破裂しそうなほど膨らんでている。
ベニ「そんな……うそ……」
唖然とした呟きをベニが発する。ミラは蒼白になり、歯をカチカチと鳴らし、恐怖していた。
無造作に開いた手のひらをグッと握ると、バーーン! と、花火のように弾けて飛んだ。トモエの紫の瞳が弧を描く。
トモエ「格が違うのよ。あなた達と私とじゃ」
悪魔的なささやきは、カルアに膝をつかせるには充分だった。格が違う、言ってみれば、子供と大人ぐらいの差があると瞬時に理解した。きっと、トモエにしてみれば、少し、襟首を掴んでやっただけぐらいの感覚なのかもしれない。悔しさからか唇を噛み血がつう、とアゴに垂れる。
次はこちらのターンだと、闇が、あたりを覆う。トモエの底冷えするかのような笑い声とともに、裂けた地面の隙間から影が噴出し、手が這い出した。
トモエ「ダークハンド」
一本の巨大な手。カルアの視線が足元に向かう。握り拳を作ると、俺がまばたきした瞬間にカルアの腹を突き上げていた。
ゴォンッ!
衝撃波が爆ぜ、数メートルはある天井にカルアの身体はめりこんだ。だが、それでも、拳の動きは止まらない。
音が一つ爆ぜ、また一つ爆ぜた。物理的な暴力。それは、無抵抗な相手をいたぶるための振るわれる一方的な力。
何度も、ラッシュを繰り出し無慈悲に、見えなくなったカルアに向けて破壊をしている。
やがて、衣服も身体もボロボロになったカルアが地面に落ちてきて小さくバウンドする。さらに追い討ちをかけてまだ拳の雨は続く。トモエはチラリと俺たちを一瞥した。
トモエ「――邪魔をしたいならどうぞ?」
ビクリ、とベニの肩が震えた。突如として現れた、正体不明の敵。敵なのは明らかなのに、対抗手段がない。
トモエ「私の見たてでは、ベニもこの子と同じぐらいの魔法しか撃てないわよねぇ」
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