勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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86:名無しNIPPER[sage]
2017/03/26(日) 13:36:07.02 ID:+afMFJY80
- 謁見の間 扉前 -

フラン「……ぜぇ……ぜぇ……この、結界、破れない……ぜぇぜぇ……」

大きな円を描いた魔法陣の内側に円と線をつないだ小さな魔法陣が描かれ、その中心にオリハルコンが置かれ、その周囲に12の宝玉と呼ばれるプレートが置かれている。もっとも大きな大円の魔法陣の外に小さな魔法陣がもう一つ。仕掛けておいたのはトモエである。これが、誰も謁見の間に入ってこない理由だった。

兵士「あの、大丈夫ですか?」

恐る恐る声をかける。この場には既に数百人が駆けつけていた。通路に入りきらない数も含めればもっといる。剣士、魔法使い、それぞれが戦闘態勢なのは言うまでもない。その先頭に立っているフランが先ほどからずっと魔法を唱えたりしているのだが、結界はビクともしない。

フラン「こんな強力な結界、どうしたら……」

その時だった。魔法陣の中央に置かれたオリハルコンが小さく震え、地の底から魔翌力を吸い上げるかのような音が響いたのは。
とっさにフランが杖をふりかざし、場の制御に精神を張り巡らせる。
ゴゥと豪炎があがる。
慣れた仕草で気の流れを操り、そのエネルギーを増幅された方向へと導いていく。

フラン「バランスが崩れた! 中でなにか動きがあったんだわ! 総員! 撃てっ!」

号令を合図に次々に結界に各属性の攻撃魔法が打ちこまれる。すると、小さなほころびはやがれ亀裂へと発展し、徐々にではあるがひび割れの範囲を広げていっていた。

兵士「おぉっ、いけるっ!」

剣士達は唾を飲み、いつでも戦えるように鞘から刀身を抜き出す。瞳には闘志がやどり、やる気まんまんである。

フラン「撃ち方やめ!」

火と水の魔法の余波で、あたりに水蒸気の煙がもうもうとたちこめる。しばらくの後、煙が晴れると結界はもはや、維持しているのがやっとの状態であった。

フラン「ここに古より蘇れ精霊よ、太古の炎よ、純粋なる穢れなき炎よ、焼きつくせっ!」

直径10メートルはあろうかという巨大な火球がフランから放たれる。トドメの一撃だった。直撃と同時に、ガラスのようにパリン! と、音を立てて割れる。
そして、フラン達は謁見の間に雪崩れ込んだ。


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