勇者「幼馴染がすごくウザい件」
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87:名無しNIPPER[sage]
2017/03/26(日) 14:16:00.78 ID:+afMFJY80
- 30分後 謁見の間 -

ベニ「――と、いうわけで、四天王の1人はカケルの信徒になった」
フラン「はぁ」
ジョル「いやはや、面目ないのぅ。手も足もでんかったわい」
カルア「は、はいぃ」

時は少し進み、見渡す限りの人の波に、俺は酔いそうだった。部屋の広さに対して、人口密度が濃い。皆、口々に魔王の直属の側近である四天王という言葉に恐れ慄いている。発端であるトモエは、玉座の裏に全身石化されたジョルを解除して王にかけてある催眠を解くと、すぐに飛び立った。空まで飛べるというのだから村に途中で降ろしてほしかったが、それを言う暇はなかった。

ジョル「勇者どのがおらんかったら、この国は滅びておったのぅ」
フラン「にわかには信じられないけど、私達が手も足も出ないレベルなの?」
カルア「間違いまりません。極大魔法でさえ、片手であしらわれました」
フラン「……悪夢ね……」
ベニ「でも、希望もある。それは、カケル」

全員の期待の籠もった注目を集める。はっきりいってセックスで勝ったなんて詳細を知られると思うと恥ずかしい。

バンドギア王「そこまでにしておくのであ〜る。勇者が困っておるであろう。この国を、民を救ってくれて礼を言わせてほしいのであ〜る」

いえ、ちんこぶっさしただけですからね!

フラン「王様。魔王軍が予想以上の強さだとわかったのなら、勇者さまに真の力を取り戻していただかねば」
バンドギア王「洗礼を行なってやりたいのだが、それは困難なのであ〜る」
ジョル「先ほど、あの女が乱入してくる前にワシと王様で検討していたが、ここに今、伝説の剣がないそうじゃ」
ベニ「えっ?」
バンドギア王「剣は、打ち直しが必要だったのであ〜る。ゴダイク王国に保管されておるはずであ〜る」

王には後悔の念が浮かんでいた。ちょっと待って。ここで洗礼をして俺が人違いだと証明できないとなると――

バンドギア王「勇者と五大魔術師達は、ユミル姫も同行させて、これからゴダイク王国に向けて出発してほしいのであ〜る」

――そう、俺が気がついた通りの言葉を言われた。やっぱり、そうなるんじゃねぇか! ばかやろう、もう付き合ってられるか。こんな命が何個あってもたりないようなのから俺は降りる。そう考え、いの一番に振り返り、人混みの波を掻き分け、帰ろうとする。
すると、移動することさえ苦しいだろうに、人の並が、まるでモーゼの十戒のように縦に割れ、俺が通る道を開けてくれた。

カケル「(な、なんだ?)」

異様な雰囲気を感じ取り、警戒心を丸出しにする。

フラン「王様、勇者様は最初からそのつもりだったようです」
ジョル「誰よりもはやく決断し、行動する、まさしく勇者じゃの」
ベニ「……私達も、あの背中においつく、もっともっと強くならなくちゃいけない」
カルア「はい。勇者さまに栄光を、平和のために行きましょう!」
ミラ「私も、頑張ってついていく!」

ギギギ、と錆びた音がなるように振り返ると、満足気な頷きをしている王とバカどもがいた。

カケル「(か、勘弁してくれええぇぇ〜〜っ!)」

心の中で声にならないさけびは、いつまでもいつまでも止むことはなかった。


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