11: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:11:28.83 ID:upUN87ha0
「〜♪」
沙紀がそんなことを考えていることを露知らずか、響子は上機嫌なのか小さく鼻歌を歌っている。
(とにかく何か話さないと……)
しかし、沙紀自身は妙に落ち着かないのか少し無理やりに話題を作る。
「で、でも、よかったんすか?」
鼻歌を中断して響子は沙紀に振り向く。その綺麗な瞳と微笑みを向けられ、沙紀は言葉に一瞬詰まってしまった。
「なにがですか?」
響子は何のことかわからず首を傾げ尋ねる。
「いや、響子ちゃんの理想にアタシなんかがっていう話っす」
「え?も、もしかして迷惑でしたか……?」
じわと陰り出した響子の表情に沙紀はアッと慌てた。
「ち、違う違う!逆っす!響子ちゃんから見てアタシなんかが相手で良かったのかっていう話っすよ!」
口調を荒げてまで否定する沙紀を見て、響子は少し暗くしていた表情を一転させ、くすっと笑った。
「ふふ、今日の沙紀さんはいつもより少しあわてんぼうで珍しいですね」
「……あ!振りだったんっすか!?だ、騙したっすね!」
「ふぁっ!?いひゃっ、いひゃいですー!」
沙紀は響子の頬を抓った。もちろん、力はいれていない。ただむにーっと伸ばすように弄んでいた。
「ひゃ、ひゃなひて、ひゃなひてくだはい〜」
響子も本当に痛がっているというよりはどこか楽しんでいる風でもあった。その証拠に頬を抓っている沙紀の手を掴んではいるものの、そこに力は入っていないようだった。
「まったく、年上をからかっちゃだめっすよ」
「す、すいません。なんかいつもと違う感じで面白くって……」
確かに沙紀もそれは感じていた。どうにも今日は雰囲気に流されやすくなっているようだ。
それは響子の部屋にいるからなのか、彼女の雰囲気、恰好がいつもと違うせいなのか。
ピピピピ―――ピピピピ―――
沙紀がぼんやりとそんなことを考えているとタイマーが現実に引き戻さんとばかりに音を鳴らした。
「あっ、3分経ったみたいですね」
そういえば、タイマーをかけていたなぁ。と先程のことなのに忘れていたかのように思い出していた。
「3分ってこんな長かったっけ……?」
「え?どうしました?」
沙紀はなんでもない。という風に片手を振って答えると響子もそれ以上は聞かずおもてなしの準備を始めるのであった。
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