27: ◆JfOiQcbfj2[saga]
2017/05/07(日) 01:26:52.78 ID:upUN87ha0
「くしゅん!」
「んぁ……?」
沙紀が目を覚ましたのは小さなくしゃみの音だった。ぼんやりとした思考の中で偶然、既に起きていたらしい響子と目が合った。
「あ、お、おはようございます……」
沙紀の腕に抱かれながら響子がそう言うと沙紀は復唱するように呟いた。。
「おはよう……?」
呆然としていた脳がゆっくりと活性化し、先程までの行為が鮮烈に脳内で想起され、沙紀は漸く覚醒した。
「あ、そうか……アタシ寝ちゃってたんすね」
「ごめんなさい、気持ちよさそうに寝てたのに起こしちゃって……」
「あぁ、いやいや大丈夫っすよ。それよりくしゃみしてたみたいだけど……」
自分が寝ていたせいで響子を拘束していたことに気づいて沙紀は心配そうに尋ねると響子は苦笑を浮かべながら答える。
「ちょっと汗が冷えちゃったみたいで……あの、着替えてきますね」
「あ、了解っす」
「それで、あの……」
響子はそう言うと恥ずかしそうに俯いた。
「ん?」
「えっと、腕を」
そう言われて初めていまだに響子を抱いている状態であることに気が付いた。
「あ、ああ!ごめん!」
慌ててパッと離れると響子はすぐに戻ってくることを告げ、いそいそとベッドから出ていった。
「うわ、何か腕が痺れてる……」
片方の手は響子を抱くために下敷きになっていたせいか、若干感覚が鈍くなっていた。
そんな腕への血流が再開し痺れてくる感覚に耐えながらベッドの上で身を起こした沙紀はテーブルに置いてある時計に目が着いた。そしてその目を大きく見開いた。
「え!?もうこんな時間!?」
時計の針はいつの間にか夜間近まで進んでいた。そういえばいつの間にか部屋に明かりはついているし、窓の外は明らかに暗く街灯が光っているのが確認できた。
「アタシ、どんだけ寝てたんすか……」
好き放題に彼女を求め、勝手に満足して勝手に眠っていたことを考えると少しひどすぎた。彼女もとっくに起きていただろうことを考えると反省しきれない事態である。
「お、お待たせしました」
そんなことを考えている時に、タイミングよく響子が帰ってきた。服装はいつも彼女が着ている服に着替え、その上からエプロンを羽織っている。
「響子ちゃんその恰好……」
「もうこんな時間ですし、夜ご飯も食べていってください。買いだめのものですみませんがすぐに用意しますね」
明るい笑顔でそういう彼女に沙紀は慌てて首を振った。
「い、いやいやいや!響子ちゃんも疲れてるんじゃないすか?アタシも色々迷惑をかけたみたいだし今日はもう家に――」
戻ります。とそう伝えようとした言葉を響子は遮った。
「沙紀さん、このまま戻ったら簡単にコンビニのお弁当とかで済まそうとか考えてますよね」
ぐっ、と言葉に詰まった。図星である。
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