67: ◆JdP.BncS3o[saga]
2017/11/09(木) 23:54:35.57 ID:xG9aVRN90
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4合目 逃亡の果てに
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……大変!ズボンが見当たらない!
「あれ?かえでー?」
「どこいったのかな」
トイレから出てきた二人が私を探している。ど、どうしよう!?
こんな格好じゃ出ていけないし、でも心配させるわけにはいかないし……
やば、小春がこっち来る。
私はとっさに逃げ出した。
どうしよう、これ取り返しのつかない事態になってきたんじゃ……
「小春?」
「あれ、ここにいたような気がしたんだけどなー」
小春に気取られていたらしい。さすがにカンがいいわね。
下着はともかくズボンをどうにか回収しないと……
「こんな時間に山歩きもいいもんだねえ」
「そうそう」
今度は聞きなれない人の声が聞こえてきた。
小春達に見つかることばかり考えていたけど、そもそも今私は登山道で完全無防備な下半身を晒しているわけで……絶対に見つかるわけにはいかないわね。
あわてて木の裏に隠れたは良いが、足場が安定しない。とっさに何かにつかまろうとも思ったがそのまま滑り下りることにした。
もしかしたら脱ぎ捨てたズボンが落ちていったかもしれないし……
木から木へと体重を預けながら急斜面を滑るように下りてゆく。
とりあえず人目を避けられる場所に。
と思いきやすぐさまフェンスに阻まれる。
そして、そのフェンスのすぐ真下に買い物帰りらしい奥様達が立ち話をしていた。え?どこよここ?
よくみたら民家が並んでるじゃない。なんでこんな山の中に住んでるのよ!
幸い私には気づいていないらしいけど、このままでは……
逃げよう!
今度はわき目も振らず木々を伝い一目散に急斜面を駆け上がろうとするが、そんなに颯爽といくわけもなく一歩ずつゆっくりと元の場所に向かってゆく。くぼみに足をかければお尻を突き出す格好になり、木の根に足をかけると大股開きになってしまう。
内股に涼しい空気が流れ込み、自分がどんな格好をしているのか改めて思い知らされる。
だめ、もう限界!このままじゃ神経がもたない。
やっとの思いでトイレの近くまで戻るとゆうかと小春が探しているのが見えた。
「ゆうかー!小春ー!」
みんなの心配をよそに隠れ続けるのはもう無理。
私はどうにか恥をしのんで下半身丸出しのままで声をかけた。
一応手でシャツを引っ張って隠してはいるけど、あきらかにはいてないのは一目瞭然のはず。
「かえで!もう心配したのよ」
「あ、あの、これはね」
「まあまあ、見つかったんだからよしとしようじゃないか。さあ帰ろう」
「そうだね」
あれ?二人とも追及してこない。
「はぁ……あんたたちと一緒に出かけるとろくなことがないわね」
「いやはやゆうかはツンデレだなあ」
「違うわ!」
もしかしてあまりにも堂々としてるから気づいてない?
これなら何事もなかったように乗り切れるかも!
とはいえ……とにかく恥ずかしくて仕方がない。
なんとか打つ手を考えなきゃ。
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