259:名無しNIPPER[saga]
2018/03/18(日) 18:15:38.89 ID:0H0vUuCl0
男「やっぱり完全に駆除するのは難しいんですねえ。去年の春にも駆除されたんですよね。その時はどうだったんですか?」
おじさん「その時はここで年を越した成体のアライさんが一匹、冬の間によそから移動してきたアライさんの親子が二組でした。
親子はどっちとも親一匹、子供一匹といった具合です」
男「全部で五匹ですか。それより少ないといいですねえ」
おじさん「比較する為に罠の設置した場所や数は去年とほぼ同じにしましたが…冬期の平均気温や天候が違いますので
あまり参考にはならないでしょうね」
その後しばらく道を進むと、作業場があった所の様な少しひらけた場所に出て、おじさんは車を停めた。
おじさんと男はリュックを背負い、準備をする。
おじさん「じゃあここからは歩いて行きましょう。特に足元が危険な場所はありませんが、念のため私の後に付いてきて下さい」
男「わかりました」
おじさん「おっと…こいつを忘れてました」
おじさんはワゴン車の後部ドアを開け、ストックを一本取り出した。男は最初、それを登山用のストックだと思ったが
よく見るとスキーで使うストックだった。ストックの先に付いている円盤状の部品が外され、先端は機械で削ったのだろうか鋭利になっている。
削られて露出した、銀色に鈍く光る金属面には赤い物が付着しており、何に使うかはおおよそ察しがついた。
男「ストックですか。そういえば子供の頃はよくスキーの練習をしてましたね」
おじさん「私はからっきしですね。今でもおやりに?」
男「就職して地元を離れてからはすっかりやらなくなってしまいましたねえ」
おじさん「そうでしたか。…ではそろそろ出発しましょう」
男は頷いて返事をし、おじさんの後に続いて歩き出した。しばらく森を歩いていると
おじさん「さっき子供の頃の話が出ましたが…。私は運動はあまり得意では無かったですが、よくこの山で遊んでいましたね。
昆虫を採集したり色々な押し花を作ったりしたものです」
話を聞くと、この山はおじさんの曾祖父の代から引き継いでいるもので、七年前にそれまで元気だったおじさんの父親が
急病で亡くなってからはおじさんが管理している。
子供のころはおじさんと友人達の良い遊び場で、生き物や植物に興味を持つきっかけになったのだそうだ。
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