【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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40:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 23:49:23.77 ID:u1xI7N2CO
「は、る……」

 ぎこちなく首を動かし晴を見る兎角。しかし晴は、そして柩は相変わらず笑顔のままである。

「どうしたんですか、兎角さん。さあ、入ってください」

 二人は扉を開き招く仕草をするが兎角と千足は凍り付いたかのように動けなくなっていた。

 ある意味当然であろう。ここは自分達が不貞を働いた場所。恋人を裏切った象徴の場所。二度と来たくもないような場所である。
 しかしそれはある意味では相手だってそうではないのか?
 意図がわからない。兎角は苦悶の表情を浮かべながら笑顔の晴を見つめた。どうしてそんな笑顔でいられるんだ。この部屋は言わば自分が裏切られた部屋だというのに。いったい何をしようというのだ。いったい何がしたいのだ。しかし兎角はその質問を口に出すことはできず、また晴もただ見つめ返すだけであった。

 膠着状態を解いたのは千足であった。
 兎角の隣で同じくうちひしがれていた千足であったが、覚悟を決めたのか一歩進み出て10号室の中に入っていった。柩がそのあとに続いて入室する。

「さ、兎角さんも」

 残った晴が兎角を促す。
 ぽっかりと空いた10号室の入り口は兎角からはまるで魔境の入り口のように見えた。しかしもはや逃れるすべはないのであろう。ついに兎角もまた重い足取りで入室した。
 それに晴が続き、そして10号室の扉は閉められた。


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