白菊ほたる「好きあったまま別れるよりも嫌われてでもいっしょにいたい」
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3: ◆agif0ROmyg[saga]
2017/08/26(土) 00:05:45.51 ID:VVa+UHSM0
プロデューサーさん!

「……すまん、心配かけて。でも……もう、いい加減にしないとな……
 ここも……近いうちに辞めようと思う」

辞める?

プロデューサーを辞めるってことですか?

そんな、なんで。

「一人で家にいるのが辛くて、職場を逃げ場にしてるなんて、そんな男、アイドルのために働く資格、無いだろう。
 それに今のままだと俺はもう耐えられない、ほたる、俺はほたるにひどいことを言ってしまうかもしれん……」

不幸、死神、疫病神……

私も色々言われてきたからわかります。

心が弱ると、つい人は他人を傷つけてしまうものです。

それで後から、あんなこと言うんじゃなかったって、言った本人も傷ついて……

そんなの、許せません。

何も悪いことしてないはずのプロデューサーさんが、これ以上苦しむなんておかしいです。

今の彼を一人にしておく訳にはいきません。

そばにいてあげないと。

弱っていて辛そうで、こんな状態の人間が本心では何を望んでいるのか、私には少し分かります。

まだ13歳の子供ですけれど、悲しい思いをした経験だけは豊富ですから……なんて、ちょっと自虐的ですか。

そっとプロデューサーさんに寄り添い、隣に腰掛け、身体を預けます。

「……! ほ、ほたる、やめないか」

いいんですよ。

構いません、何を言われても。

ひどいこと言っても、乱暴なことしても、プロデューサーさんのことは私が受け入れますから。

ぐ、と息を詰まらせたような声。

どろりと涙がこぼれて頬に痕を残しています。

事故の日以来ずっと、何日も辛くて、悲しくて、きっと一人で苦しんでいたのでしょうね。

慈悲、愛しさ、同情、それらすべてを塗りつぶす何かどす黒い衝動。

私のものか、それとも隣の、プロデューサーさんの?

どちらでも、同じことでしょうか。

「や、やめ」

震える手がゆっくりとこちらへ伸びてきて、私の腰を抱きました。

いいじゃないですか。

他の誰もいませんよ。

私はただ、プロデューサーさんを放っておきたくない……少しでも楽になってほしいだけなんです。

だから、辞めるなんて言わないでください。

好きあったまま別れるより、嫌われてでもいっしょにいたいんです。

特別なことはせずに……ただ、身体をくっつけるだけ。

今まで私が傷ついて悲しんでいた時に、そうやって慰めてくれる人は一人もいませんでした……プロデューサーさんの他には。

だから、あなたになら、何をされても。

にじり寄って、押しのけられそうになって、運悪く手が私の胸に当たってしまいます。

謝ろうとするより先に少しだけ甘い声が出てしまう、と、唇が痙攣して理性の崩れる音が聞こえてきそう。


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