鷺沢文香「アッシェンプッテルの日記帳」
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15: ◆ao.kz0hS/Q[sage saga]
2017/10/08(日) 00:09:13.52 ID:1nHzinqN0

“あんな場面に遭遇した私はこれからどう生きてゆけばいいのですか?
 貴方たちの喘ぎ声が耳にこびりついて離れないのですよ?
 貴方たちの交わる姿のイメージが頭の中でで膨れ上がってパンクしそうなのですよ?
 でもこれは私が無知だからです。無知ゆえに際限なく想像を膨らませてしまうのです。
 だから一度お二人が交わる様子を確と目の当たりにすれば、なんだこんなものかと納得し、自分の気持ちに折り合いをつけることができると確信しています。
 いえ、その様子を見ない限り私の日常は戻ってこないのだと言ってもよいでしょう。
 私の日常を壊した責任を取っていただけますか?”

“意味が分からない!!”

Pさんが怒りも露わに叫びました。
私だってこの論理が受け入れられるとは、勿論思っていません。
ですがその日は初めから、全部見せてもらうつもりでした。
被害者ぶってでも。彼らの弱みに付け込んででも。脅迫してでも。

“会社内での性行為がどれほど社会的信用を損なう行為か、ご存知ですよね?
 あまつさえ、プロデューサーとアイドルなのですよ?”

愕然とした表情というのはああいうものなのですね。
いつも自身に満ち溢れたPさんの表情が、他ならぬ私の言葉で歪んでいくのは、本当に心が痛みました。
睨み合うPさんと私。彼の額に浮かんでいたのは、きっと脂汗というものでしょう。
しばしの静寂の後、口を開いたのはずっと黙っていた美波さんでした。

“文香さんはそれで良いの?”

私の頭の中は一瞬で疑問符で一杯になりました。
というのも、そのときの私には美波さんの言葉も纏う雰囲気も、異様なほどに理解できなかったのです。
まるで私が要求すべきことはもっと別にあるかのような言い分でしたし。(これ以上の要求があるのでしょうか?)
それにPさんのように取り乱すでもなく憤るでもなく、寧ろ逆で、私のことを憐れむような、ともすると悲しそうな表情だったのですから。
(まぁ確かに、友人と思っていた人間に脅迫されたら、悲しくもなるかもしれませんが)

ですが今ならば、表情については一応の説明を付けることができます。
おそらく、美波さんは罪悪感を覚えていたのです。
私がそんなことを言い出したそもそもの発端が、あの夜の自分の大胆な行為にあるのだと勘づいていたのではないでしょうか。


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