5:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:30:59.34 ID:BBRlU/0B0
逃げた獲物の姿を捉えようと、奇声の主が男を視界に収める。
男も奇襲をしかけてきた奇声の主を視界に収める。
灰色の髪が見える。視覚から入ってきたその情報が、一瞬目の前のそれが人間だと誤認させる。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:32:11.12 ID:BBRlU/0B0
「たぁ〜〜〜〜!!!!」
呆気に取られ、銃口を向けるのを忘れていた男の頭上からまた別の奇声が聞こえた。
男「あづっ!!」ザクッ
7:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:35:04.29 ID:BBRlU/0B0
男は周囲を見渡す。周囲の木々から、何かが這い出てきているのが見えた。
アライちゃんA「のだー」ニュウッ
アライちゃんB「だー」ニュウッ
8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/11/09(木) 00:39:24.99 ID:8uctEsTo0
アライさんマジやばい。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:41:30.42 ID:BBRlU/0B0
だが、これはおかしい。
アライさんがアライグマと同じように木を巣として生活するのは知っていたが、この数は明らかにおかしい。
この一帯が危険地帯、アライさんのコロニーになっているなんて話を男は聞いていなかった。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:44:49.08 ID:BBRlU/0B0
まずい、殺される。男は命の危機を感じて逃げ出した。
拳銃を拾うという選択肢は捨てた。
利き腕を負傷した事と、拾っている間にまた上から奇襲をかけられたら心臓をやられると考えたからだ。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/11/09(木) 00:44:53.11 ID:8uctEsTo0
男。ゲームオーバーか。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:46:26.56 ID:BBRlU/0B0
土と植物、有機体に囲まれた空間に似つかわしくない無機物が擦れる音がしたと同時に彼の左足に痛みが走る。
その痛みと、左足を固定した何かに引っ張られ、彼は落ち葉の溜まった地面に倒れこんだ。
左足を見ると半円型の何かが二枚、彼の左足を挟み込んでいた。
13:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:47:40.63 ID:BBRlU/0B0
アライさんA「ヒトが作った道具にヒトがひっかかったのだ!あいつ馬鹿なのだ!!」
アライちゃんA「やっぱりおとーしゃんのいうとおりらったのらぁ!」
アライちゃんA「ばかなのだ!」
14:名無しNIPPER[saga]
2017/11/09(木) 00:49:14.98 ID:BBRlU/0B0
身動きが取れなくなった彼にアライさんが近付いていく。
アライちゃんの群れが、まるで古い映画に出てくる肉食の甲虫のように男に近付いていく。
囲まれれば最期、その映画のように殺され、食われ、骨をこの森に晒す事になる。
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