562:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/02/06(火) 18:51:45.53 ID:4C8nUuLY0
「ま、まあ確かにこの様子、普通じゃねぇな。しかしクスリとか術っていったい何の…」
「そういえば聞いたことがある…」
「知っているのかデンライ!」
「ああ。『攻撃した相手を性別種族問わず別の相手に惚れさせてしまう』という術を使うモンスターのウワサだ」
アッシュの部下の一人、デンライ。
ときおり豆知識めいたことを口にするギルドの知恵袋である。
「おい…ってコトは。今この女は、その術で俺に惚れちまってるってことか?」
「あり得ると思います。 コイツのこの目の雰囲気からすると…たぶん何者かの精神攻撃を受けてるんじゃないかな〜、と…」
(マジ…かよ)
部下たちの推測が正しければ、これはまさしく千載一遇のチャンスだ。
「なぁ、お前…ツバキだったか。お前は本当に俺が好きなのか?」
「う…そ、その、改めて問われると気恥ずかしいが…」
男に見つめられ、もじもじしながら言いよどむツバキであったが…
「す、好きだ…私はあなたが好きだ」
視線をそらし、顔を赤らめながらぼそぼそと小声で答える。
その表情はまさしく恋する乙女のソレであった。
(うわぁ…信じられねぇが…ホンモノだこりゃ)
「ふ、ふ〜ん…そっか〜、俺のことが、ね…なるほどなるほど…」
( くくっ…面白いことになりやがった。この状況は使えるぞ…!)
ツバキの『恋心』に確信を得たアッシュの脳裏にドス黒い考えが浮かぶ。
「あー、オホン。えーと、だな。 あんたの気持ちはよーく伝わった」
普段の軽薄な彼とは似つかわしくない、かしこまったトーン。
「実はさ…俺も前から、アンタのことは気になってたんだ。
この人と一緒にいられたらきっと幸せだろうな〜って、アンタの事見ながらずっと思ってたんだよ」
精一杯のイケメン顔(のつもり)でツバキを見つめるアッシュ。
「え…ほ…ほんとう、か…?」
「ああ、本当だよ。俺はキミを愛している(キリッ」
「!!!」
一瞬にして顔が真っ赤になり、凛々しい双眸から涙が零れ落ちる。
「うれ…しい。 こんな…こんな嬉しいこと生まれて初めてだ…」
「ツバキ…泣くほど喜んでくれて俺も嬉しいよ…」
(や、ヤベェ…マジ泣きしてるよ! めちゃウケるんですけど!)
感極まったような声を出すツバキに対して、しかし男は心の中で大笑いしていた。
「でもな、ツバキ。いくら俺たちが好き合っていたとしても、このままじゃダメなんだ。一緒にはいられないんだよ」
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