61:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/01/08(月) 23:11:09.88 ID:FLdDHFhS0
「正直、お告げが云々の話については信じていなかったよ。ただ、共に旅をすることについては断る理由もなかった。
見聞を広めるために始めた旅だったし、港町に向かうのもついでのようなつもりでいた。しかし―」
港町に向かう旅路の中、その噂が伝わってきたのだ。
いわく、港町の大灯台が闇に飲まれて変わり果てた。
いわく、塔の内部から魔物が溢れだした。
いわく、塔の内部は構造が変化しダンジョンと化した―
「そうなると私も、お告げが単なる妄言ではないのではないかと思わざるをえなくなる。―そこへ、『第3のお告げ』だ」
元神官クチナに届いた3番目のお告げ。
それは『銀の鍵とその使い手を探せ』というものだった。
「そしてであったのがこのわたし」
部屋の扉の方から新たな声が聞こえた。
「おお、アリス。帰ってきたのか」
「うん、ただいま。かいものからもどったらおつげのはなしをしていたから、とうじょうのタイミングをうかがってた」
そういうとアリスは腰のポーチからごそごそと何かを取り出す。
大事そうに布でくるまれていたそれは、奇怪な装飾の施された銀色のカギだった。
「わたしのしょうばいどうぐで、おとうさんからもらっただいじなたからもの。
これをつかえばどんなげんじゅうにカギをかけたとびらやたからばこでもかんたんにあけられる。でもわたしにしか、つかえないよ」
「そして第4のお告げ…そう、君の登場というわけだ。これがこのギルドの、これまでの経緯だよ」
「う…う〜ん…でもちょっと、話が出来すぎているような」
一通り話を聞いたミルキィだったが、まだうさん臭さを払拭することはできないようだ。
「そうだな。君の疑念を否定することはできないかもしれない。しかし私は…すでに目の当たりにしてしまった。
魔窟となった塔から現れた魔物たちに襲われ、街を荒らされ、悔しさにむせび泣く人々を。
お告げを信じようと信じまいと、あれをみてしまったら私はもう見て見ぬふりなどできん」
(正義感かぁ…それはそれでついていけないとこもあるけど)
「どうだろう。君さえよければ、我々のギルドに入らないか。私はお告げを信じたいが…判断は君に任せるよ」
「リーダーさん。一つ聞いていい?」
「ん?」
「もし私が、お告げに示された人間じゃなくても…あなたは私を助けにきてくれていたかしら?」
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