743:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/03/10(土) 07:46:10.23 ID:R/EdiaWy0
「…ふん。ま、そういう連中もいつ手のひら返すかわかったもんじゃないわよ。貴方もいつ見放されてもいいように身の振り方はしっかり考えておくことねっ」
どこか自嘲めいた笑みを浮かべながら皮肉を口にするが。
「うん。しんぱいしてくれて ありがとう」
そんな皮肉はものともせずにアリスは素直なお礼を口にする。
いつもの無機質な口調の中に、ほんの少しの嬉しさのようなものを混じえながら。
「…〜っ!あ、あなたねぇ!」
あまりの無垢なアリスの受け答えについに我慢が限界に達したのか、思わずウェルは大声を出してしまう。
「ひょっとして私のこと『実はいい人』みたいに思ってない!? 私こうみえても奴隷調教師よ!これまでに何人もの女の子たちを奴隷に仕上げて出荷してるの。貴方たちだって、そうなってたところなのよ?」
「うん、あなたが わるいこだってことは わかる。でもなんていうか」
アリスはちょっと言葉に詰まってから、自分の心情を表現する言葉を口にする。
「そう。 シンパシー? みたいな」
いつも無表情なアリスではあるが、今の彼女の唇は小さく微笑みの形を作っているように見えた。
アリスもまたウェルに親近感を覚えていたのかもしれない。
「何がシンパシーよ…ほんっっと調子狂うわっ」
ウェルにとって他人との会話でこんなにも心をかき乱されるのは久しぶりのことだ。
なんだか顔が熱いし、気持ちがもやもやする。
(あーもう! なんだか私までおかしくなっちゃう。はやく部屋に帰って休みたい…)
などと考えていたその時だった。
「…っ!」
通路の前方に気配を察して壁の影に身を隠すウェル。
「…またオークだわ」
ウェルの言う通り、通路の先にいる気配の正体はオークだ。
(さっきから…オークの姿ばかり見かけるけれど)
気のせいではなく。アリスとともに行動を開始してからオークの気配を感じては隠れる、の繰り返しであった。
(巣が近くにあるのかしら…でもこれは…まさか)
「…ねぇアリス。さっきの転移…本当にワケもわからずにやったのよね? 狙ってここに跳んだわけじゃないわよね?」
口調に深刻な雰囲気を滲ませつつ、ウェルが問いかける。
「? うん…どうしたの?」
「まずいわ…ここ、たぶん…『第四層』よ…」
ウェルの言葉がかすかにふるえていた。表情も心なしか青ざめている。「なんで よんそうだってわかるの?」
「タワーの第四層はオークの群れが支配してるって聞いたことがあるのよ…ここに跳んでから、実際オークの姿を何匹見かけたと思う?…まず間違いないわ…」
「したのかいそうには おりられないのかな」
「無理よ。本来タワーの階層を行き来するには、それぞれの階層で移動用の魔法陣を起動させるしか方法はない。私は…4層の魔法陣を起動させる魔力球は持っていないわ。残念ながら」
言いながらウェルは改めて鍵の力の脅威を痛感していた。
(まさか魔力球なしで第一層から四層へ転移することになるとはね…つくづくとんでもないのと関わっちゃったわ…)
「…ワープホールの術を使えば階層を超えて一層へ戻れるだろうけど、今はまだ魔力のコントロールができないし」
「じゃあ まりょくがつかえるようになれば もどれるんだね」
「簡単に言えばそうなるわね。もっともいつ回復するかわからないのが問題だけど…ああ、問題と言えばもう一つ」
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