752:塔の主 ◆B2ErFCUzdE[sage saga]
2018/03/19(月) 11:08:16.41 ID:ZWPBDPNO0
アリスは自暴自棄になっているわけではない。
実際二人の逃亡の成功率が高まる手段はこれしかないと判断したのだ。
「いちにのさん、でわたしがとびかかる。ウェルもそのタイミングでうごいて」
こちらに掴みかかろうとするオークの手は既に眼前にまで迫っていた。
「くっ…どうなっても知らないわよ!」
「あん?お前ら何ぼそぼそ言ってんだ…」
2人の様子を怪しむオークたちの動きが一瞬止まる。
「いち…」
「にの…」
「「さんっ!」」
合図とともに、二人は真逆の方向に飛び出した。
アリスはオークたちに向かって。
ウェルはオークに立ち向かうアリスを背にして。
「…しゃあぁっ!」
シュパッ―
油断していたオークの太い腹に一筋の赤い線が走った。
「うぉっ!こいつら!?」
怯えているとばかり思っていた相手からの不意打ちに狼狽えるオークたち。
「こ、このガキっ!」
それは腹の薄皮一枚を浅く切り裂く程度の切り口であったが、オークの怒りを買うには十分な一撃だった。
「逆らう気だぞコイツっ!」
「やっちまえぇーーっ!」
激昂したオークたちがアリスに襲い掛かる。
乱戦が始まった。
襲い来るオークの腕をかいくぐりながら、アリスは素早さを生かして果敢に反撃を行なう。
とはいえ、まともに敵を倒す必要はない。
今のアリスの目的はオークの注意をひきつけ、時間を稼ぐことだ。
「く、くそ!こいつちょろちょろしやがって!」
小さな戦闘マシーンが鈍重なオークの群れの中を疾風の如く駆け抜け、翻弄した。
ナイフが閃くたびに鮮血が飛び散り、怒りに燃えるオークの眼窩にナイフが突き立てられ、無様な悲鳴が上がる。
いける。
この調子ならウェルが逃げ延びたあと、自分もこの場から無事に離脱できる。
ジェネラルオークにしてもオークたちより戦闘能力は高いのだろうが、あんな身体で自分の逃げ足に追いつけるはずがない。
アリスが作戦の成功を確信したその時。
不甲斐ない部下に業を煮やしたか、ジェネラルオークが戦うアリスたちに接近していた。
「ふん。なかなかに活きのいい小娘だ。俺の目にかなっただけのことはある」
「―っ」
アリスはジェネラルオークの巨体を見上げた。
鈍重そうに見えても流石にこんな巨大な相手に接近するのは無謀極まりない。
いったん距離を置こうと、アリスが背後に飛びのいた刹那。
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