824:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/02/05(火) 19:11:56.04 ID:gwAK1vkF0
どうして みんな わたしを ひとりにするんだろう。
「わたしが…」
(おまえ人間じゃないんだってなー)
(何考えてるかわかんねぇ 人形みたいだ)
(きもちわりー あっちいこうぜー)
「にんげんじゃ、ないから?」
久々に昔の夢を見た。
プリうさのメンバーになってからは久しく見ていなかった夢だ。
やはり疲れがまだ残っているのか、ウェルとの語らいの後、うとうとして再び眠りにおちてしまったらしい。
「ふわ…ごめんねウェル。 わたし どれくらいねてた…」
瞼を眠たげにこすりながら隣りにいるはずのウェルに話しかける。
―返事はない。
「…ウェル?」
徐々に意識を覚醒させながら隣りを見やる。
アリスの隣りのスペースはもぬけの殻だった。
ベッドのすぐ傍ではわずかに開いた窓がきぃきぃと幽かに軋んだ音を立てている。
「…っ!」
アリスはシーツの感触を確かめた。
まだわずかにぬくもりが残っている。
いなくなってから、それほど時間は経過していないはずだ。
「ウェル…!」
嫌な予感がする。
以前に味わった喪失の瞬間が再び訪れる…そんな予感が。
「いや、だ…!ウェル、探さなきゃ…!」
焦燥感に突き動かされるように、アリスは窓の外に飛び出していく。
「さぁて。これからどうしようかしら」
ウェルは大通りから離れた人の気配の少ない路地裏を歩きながら一人呟いた。
「アリスは怒るかしらね」
結局書置き一つ残さぬまま、アリスたちのいる宿から抜け出してしまった。
「しょうがないじゃない。あの場所は…居心地が良すぎるもの」
(わたしみたいな悪党がいていい場所じゃあないんだから。
とはいえ、タワーの根城に戻ろうという気は不思議と起こらなかった。
奴隷調教師としての自分を放り出してしまったら、もう自分には何もないというのに。
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