829:塔の主 ◆VfcsCSY7us[sage saga]
2019/02/05(火) 20:12:04.35 ID:gwAK1vkF0
「やだ…」
そしてその沈黙を破ったのはアリス。
「ウェルと、いっしょにいたいよ…いっしょがいいよ… わるいことしたとか、きれいだとか、そんなことしらないよ…!」
アリスにはウェルの過酷な人生など知らないし、かけてあげる言葉など判るはずもない。
だから口から出てくるのは、ただの子供じみたわがままのような言葉だけだ。
「…」
(ほんとにもう、この子は…)
ウェルは今度は嘲笑ではなく苦笑を浮かべていた。
「…だからあなたは世間知らずのお馬鹿さんだっていうのよ」
なんだか子どもの我儘に付き合う姉のような気分だった。
「おばかさんでいいよ… ほんとうにわからないもん…」
いつの間にか涙声になっていたアリスがぐすっと鼻をすすった。
「―ねぇ、アリス。貴方、そんなにも私と一緒にいたいの?」
「…うん」
「そっか…それじゃあ」
「わたしと組んで、一緒に『お仕事』してみない?」
「え…」
「ふふっ、そうよ、それがいいわ。貴方とはきっといいパートナー同士になれるもの。貴方は私と一緒にいられるし、私も奴隷調教師としての仕事がさらにやりやすくなるわっ」
さも素晴らしいアイディアであるかのように、ウェルが笑う。
だがそんなウェルの提案にアリスは困惑の色を浮かべた。
「それは…じゃあ プリうさのみんなとは…」
「正義のギルドと奴隷調教師が相容れるわけがないでしょう? だから、選んで。『わたし』か、『あの人たち』か―」
「」
混乱する思考の中で、プリうさの仲間たちの顔が次々と浮かんでくる。。
リーダーツバキ、ギンガ、クチナ、そしてミルキィ。
ウェルはなんて意地悪なことを言うんだろう。
ウェルと同じくらいプリうさのみんなも大切な存在なのに。
みんな大切な人たちなのに、どちらかを選ばなければならないなんて。
「わ わたし…」
ツバキたちの仲間として、人々を救うか。
ウェルのパートナーとして魔道を歩むか。
(わからない。 わたしは、わたしは…)
アリスが再び思考の迷宮にはまりこもうとしていたその時だった。
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