947:塔の主 ◆VfcsCSY7us[saga]
2019/03/14(木) 12:09:52.84 ID:E1qoRbZ+0
「どうやった、ですか? おほん、皆さん『羽根付き水晶玉』というモンスターをご存じですかな?」
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・羽根付き水晶玉 (トラップ)
冒険者が大好きで近くに冒険者がいる事に気付くと勝手についていく
冒険者の活躍を人の集落の噴水等の水がたまっている所や空に映す
冒険者がどうなろうと映し続ける為困りものである
攻撃能力は皆無だがそれ以外の能力は高い為倒せると思わない方がよい
戦闘は倒すかどうかではなく走って振り切れるかどうかになる
自分の名を上げるチャンスと考えあえて連れて行くという選択をする冒険者もいる
――――――――――
インキュバスが言うには、このタワーには至る所に野生の『羽根付き水晶玉』が徘徊しており、しょっちゅう冒険者を付け回しているのだという。
「ふふふ、わたくしなんと彼ら水晶玉の眼を通して、その場所を覗き込むことができるのです」
縄に囚われたまま、胸を張ってドヤ顔を返すインキュバス。
「そしてつい先ほどタワー2階の水晶玉くんがあなた方のお仲間の姿を発見したのですよ!」
(いつもそうやって見つけてたんだ…そういえば)
ツバキが他ギルドの連中に凌辱された時、インキュバスは『エッチなシーンを見られなかった』とこぼしていたことをクチナは思い出した。
塔の外で行われたことは見えないのだ。
「タワーの…2階だと?」
「おおっと、テンションが高まるとどうもしゃべりすぎていけません」
「ふん、捕らえたついでだ。ワープするというのなら、このまま我々もミルキィのところまで連れていけ!」
「えぇー、一緒に連れて行ってはせっかくのエッチシーンを邪魔されてしまうではありませんか」
「当然だ! 仲間がひどい目に合わされるのが判って見過ごせるか!」
怒鳴るツバキだが、淫魔は飄々とした口ぶりで返した。
「ダメです。あなた方はいつもどおり、港街へとお帰りください」
インキュバスはパチンと指を鳴らすと、ツバキとクチナの足元にワープホールを開く。
「くそっ…逃がしてなるものか」
「いえいえ、逃げさせてもらいますよ。まだまだ縛りプレイは未熟でしたねお嬢さん」
そう言ってインキュバスは捕縛ロープをするりと解いてしまった。
「それではまたお会いしましょう…おおっ、捕まえたのは妖女さんですか。なかなかハードなプレイを見せてもらえそうですな…むふふふ!」
水晶玉の向こうの光景を見ているのか、エッチなシーンを期待し声を弾ませるインキュバスの声。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
ツバキとクチナは悔し気に歯噛みしながら、港街行きのワープホールへと飲み込まれ…いつも通りに、タワーの入り口にまで戻されてしまった。
だが―
ツバキはミルキィ救出を諦めていなかった。
「奴の口ぶりからしてミルキィがタワーの二階にいるのは確実だと考えていい!ならば完成したばかりの魔力球を使って2階へ赴き、ミルキィを探し出す!」
「で、でも二階へ上がったところでミルキィの正確な場所がわからなくちゃ意味がないわ…!」
「ギンガとアリスも連れていく。二人のシノビと盗賊としての技術があればミルキィを見つけるための力になるはずだ!」
ツバキとて必ず見つけられるという確信があったわけではない。
それでも辛い目に合わされているであろうミルキィのことを思うと彼女は走らずにはいられなかった。
ツバキとクチナは拠点である宿に引き返し、待機中のギンガとアリスにかいつまんで状況を話すと二人を引き連れ再びタワーに乗り込んだのだった。
「そして我々は魔法陣を起動させ、二階へと足を踏み入れたわけだが…本当に驚いたよ」
塔の中にある街。
多くの人や亜人が行きかう雑多な光景に唖然とするプリうさ一行だったが、同時にツバキにとってはミルキィ救出のための希望を見出したのか、目を輝かせて叫んだ。
「これは…ひょっとしたら目撃者がいるかもしれんぞ…!」
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