ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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503: ◆b0M46H9tf98h[saga]
2021/01/24(日) 02:18:14.74 ID:oUAAeofx0
…数日後・ロンドン…

ドロシー「どうやら監視は付いていないな…素人ばかりだから、間違いなく「スペシャル・ブランチ」がくっついてくると思ったが……」

アンジェ「…まだ分からないわ。もしかしたら泳がせているだけかもしれない」


…煤煙に煙るロンドンの屋根の上から、真鍮製の望遠鏡で一本の裏通りを監視しているドロシーとアンジェ……高い煙突とゆっくり回っている大きな歯車の間に伏せてのぞく視界の先には、通りに面して街区いっぱいに伸びた三階建て長屋があり、不用心にもカーテンを閉じないでいる部屋では独立派の構成員が手持ち無沙汰にしているのがくっきりと見える…


ドロシー「…あり得る話だな。どのみち連中に用意したネストは使い捨てだから、当日まで持ってくれればそれでいいが……」

アンジェ「そうね」

ドロシー「ああ…それじゃあそろそろ行こうか」

アンジェ「ええ…」パチリと真鍮製の望遠鏡を畳むとマントの裾をたなびかせ、窓から屋根裏部屋へと戻った…

…数時間後・裏通り…

ドロシー「…ようこそロンドンへ。その様子を見ると無事に到着したみたいだな」

オニール「少なくともおれと一緒に来た奴らはな……他の連中はどうしてる?」

ドロシー「そうだな、コリンズのグループは昨日無事に着いたよ…ニシン漁の漁船に乗せられたもんだから、魚臭くっていけないってぼやいてたな」ガタつく椅子に腰かけ、ちびちびとウィスキーを舐めている……

オニール「そうか」

ドロシー「ああ…だがオハラたちはまだだ。あいつらは腕っ節ばかりでおつむの方はからっきしだから、あんたがわざわざ「難しい芝居をしなくて済むように」って、あぶれた炭鉱夫ってことにしたのにな……一体どこで油を売っているのやら」

オニール「…困ったものだな。奴はライミー(英国野郎)に自分の農地を取られたから、熱心なことは熱心なんだが……」

ドロシー「熱心なだけじゃ「我らが祖先の地」は取り戻せないからな」

オニール「そういうことだ…」

ドロシー「それで行けばあんたは別格さ……あの有名な「トリニティ・カレッジ」に通ってた事があるんだって?」

(※トリニティ・カレッジ…ダブリン大学。アイルランドで最も歴史ある最高学府として有名で、「吸血鬼ドラキュラ」のブラム・ストーカー、「ガリヴァー旅行記」のスウィフト、「サロメ」や「幸福な王子」のオスカー・ワイルドなど、多くの作家や詩人を輩出している)

オニール「まったく、口の軽い奴らだ…だがまぁ、そうだ」

ドロシー「すごいもんだな…あたしみたいにライミーの貴族に見そめられて、犬っころよろしく飼われていた娘っ子とは訳がちがう……しかし、どうして卒業しなかったんだ?」

オニール「ああ、そのことか…」

ドロシー「……言いにくいことだったか?」

オニール「いや…単におれが独立運動に熱心すぎただけのことさ」

ドロシー「なるほど……それじゃああたしと同じだ♪」

オニール「…そうだな、おれたちはみんなアイルランドのためなら命さえ惜しくない……」

ドロシー「ああ、そうだな…」

…翌日・安食堂…

オニール「……どうだった」

ドロシー「ああ、どうにか無事に着いたよ…途中で汽車を間違えたんだと」

オニール「まったく、あいつは……」

ドロシー「まぁそう言うなよ……これで面子は揃ったんだから、後は準備を整えるだけさ」

オニール「その件だが、具体的にはどうする。おれにもいくつか案はあるが、あのフランス娘が用立ててくれる武器によってやり口は変わってくる」

ドロシー「…フランソワーズのことか? 大丈夫、心配ないさ…ライフルから散弾銃、ピストル、爆弾……さすがに手回しガトリングや機関銃となると厳しいが、それ以外ならだいたい揃えてくれるって話だ」

オニール「ならいいが…お前にはおれたちと同じアイリッシュの血が流れているが、あのフランス娘はどうもな……」

ドロシー「なぁに、心配はいらないさ…なにせ事が起きた暁には貿易の利益を独占しようっていうんだ、下手な愛国者だの理想主義者だのよりよっぽどしっかりした「信念」を持ってるってもんだ♪」そういいながら筋だらけのビーフステーキに食らいついた…

オニール「…かもしれないな」

………

…


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