ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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504: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/01/28(木) 03:04:27.26 ID:jnaPZfiB0
…同じ頃・公安部アイルランド課…

公安部職員「……失礼します」

課長「君か……どうしたね?」

職員「はい、それが先ほど警察から電信がありまして…「手配されている独立派の構成員とおぼしき人物を国営鉄道の職員が見かけた」とのことです……なんでも行き先の異なる切符で汽車に乗り込もうとしたので、検札係が買い直すように言うと怒って押し問答になったとか」

課長「なるほど…それで、その構成員は誰だね?」

職員「はい。現在うちの職員が駅に急行し似顔絵を確認させておりますが、特徴を聞いた限りではこの男ではないかと」手配書を机に置いた…

課長「ふむ「ちび」のオハラ。大男で、過去にR.I.C.の警官二人を殺害か……他には?」

職員「はい、税関当局からテムズ川沖のサウンド(瀬戸)で漁船一隻を拿捕したと…ニシン漁の漁船で船籍はドーヴァーとあるのにフランス人が乗り込んでおり、取り調べに対し「ベルファストで数人のアイルランド人を乗せ、昨日ロンドンで降ろした」と供述しているそうです」

課長「その男たちの人相は?」

職員「詳しい情報はまだ入ってきておりませんが、税関とイミグレーション(出入国管理局)をせっついているところです」

課長「分かった……ただちに警戒情報を出し、ロンドン中のアイルランド人を捜索・監視させろ。スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)にも同様の連絡を送れ」

職員「はい!」

課長「待った…それから市中の銃砲店にあたって、見慣れない相手や一見の客に銃を売ったかどうか確認させろ。特に狩猟用のライフルとやピストルだ」

職員「分かりました」

課長「…それから陸・海軍に照会して、ここ数週間のうちに武器庫や造兵廠、基地での盗難が無かったか調べてくれ……ライフルのような銃器だけでなく、制服の類の盗難もな」

職員「……連中は兵士に変装するとお考えで?」

課長「閲兵式には各地の連隊がやってくるからな…見慣れない顔がいてもおかしくないし、制服と徽章を見れば「ああ、どこどこの連隊か」だけで済んでしまう……また、アイルランド人もそれが狙い目だろう」

職員「なるほど…」

…夕方…

ドロシー「…よう、ずいぶんと遅いお着きじゃないか」

ごつい男「なに、途中で汽車を乗り間違えてよ…危うくウェールズに行くところだったぜ」

ドロシー「おいおい、困った奴だな……」

ごつい男「おまけに気の利かない車掌の奴が「この切符は違います」なんていうもんだからな…」

ドロシー「……まさか殴ったりはしなかっただろうな?」一瞬だけ「すっ…」と冷たい表情が浮かんだが、すぐに自制して冗談めかした…

ごつい男「ああ、殴っちゃいないさ…ちょいと襟首をつかみはしたけどな!」

ドロシー「そうかい…ま、本番まではその腕っ節をとっておけよ……な?」(…この馬鹿、やらかしやがったな…それでなくても馬鹿でかくて目立つって言うのに……今ごろ公安部と防諜部に連絡が飛んでいるはずだ)

ごつい男「おう、そうだな。おまけに駅の売店でウィスキーを買おうとしたが「ジェームソン」も「ブッシュミルズ」も売ってないときやがった…本当にろくでもないところだぜ、アルビオンって所はよ」

ドロシー「そういうなよ……ま、しばらくはここでゆっくりしてくれ。飯は食堂がそばにあるから、そこで食うようにしてくれ」

ごつい男「分かったよ、嬢ちゃん…オニールにもよろしく伝えてくれ」

ドロシー「ああ、伝えておくよ」(…こうなったらこいつらは公安部を引きつける「餌」として使うしかないな)

………

…

…数日後…

オニール「…しかし、閲兵式に向かう馬車を狙うとして……どうやる?」

ドロシー「そのことはフランソワーズとも相談したが…二段構え、三段構えで行こうと思っているんだ」

オニール「具体的には?」

ドロシー「あたしは鴨撃ちを習ったことがあるから射撃は出来る……で、だ」小ぶりな望遠鏡を取り出した…

オニール「そいつは?」

ドロシー「一見するとただの望遠鏡だが……よく見るとレンズに十字の線を入れてある」対物レンズに引いた細い黒線を見せる…

オニール「確かに引いてあるな…それで?」

ドロシー「フランソワーズが用意してくれたフランス製の「レベル(ルベル)」ライフルが数挺あるから、今度郊外に出て精度を試してくる…で、その中から一番いいやつにこれを取り付ける……通りに面した建物から馬車を撃つとすれば、だいたい八十ヤード(おおよそ72メートル)もないくらいだろう…望遠鏡は銃の衝撃に耐えられないから撃っても二発がせいぜいだし、弾の精度や火薬の燃焼ムラもあるが……そう悪くない賭けになるはずだ」

オニール「それが「第一段」ってことだな」

ドロシー「そのとおり♪」


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