ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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507: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/02/08(月) 03:02:37.93 ID:7cRaNMZt0
…数日後…

ドロシー「さて、取りに行くものはあと一つだけなんだが……」

…すでにロンドン市街は閲兵式と女王のパレードに備えて警戒が強められており、街のあちこちに制服姿のコンスターブル(巡査)や私服姿のスペシャル・ブランチ(公安)部員たちが視線を光らせている……ドロシーは古びたボンネットと頬のスカーフ、それに柳のバスケットを持って買い出しの主婦に変装しているとはいえ、リスクを考えて目的地に行くことを止め、脇道へすっと折れた……

ドロシー「……ちっ」

…裏通り…

ドロシー「…坊や、ちょっといいかな?」

…市街の「ロイヤル・アルビオン・アクターズ・アカデミー(アルビオン王立俳優アカデミー)」の近くにある、ちょっとした劇場や俳優の練習場が多い一角で、ドロシーは十歳にも満たないくらいの男の子に声をかけた…

男の子「ぼく、坊やじゃないよ! トミーって言うんだ!」

ドロシー「ああ、ごめんね…ところでトミー、ちょっとお使いを頼まれてくれないかな?」

男の子「おつかい?」

ドロシー「そう、おつかいだよ……もしやってくれたらお駄賃に一ギニーあげよう♪」ギニー硬貨を取り出してみせた…

男の子「ほんと?」

ドロシー「もちろん、お姉さんは嘘つきじゃないからね……やってくれるかな?」

男の子「うん、いいよ」

ドロシー「そっか…それじゃあお願いだけどね、この先の角を左に曲がって通りをひとつ分行くと「ウェイバリー道具店」っていうお店があるんだけど……知ってるかな?」

男の子「うん、知ってるよ!」

ドロシー「そっか、詳しいんだね…じゃあ「ウェイバリー道具店」に行って『モリー一座が注文した物を受け取りに来ました』って言ってくれるかな?」

男の子「えっと「モリー一座が注文したものを受け取りにきました」!」

ドロシー「そうそう。トミー、君は賢いね……それで、品物を受け取ったらここまで持ってきてくれるかな?」

男の子「分かったよ、おばちゃん!」

ドロシー「おばちゃんじゃなくて「お姉さん」だよ、トミー」

男の子「そっか…ごめんね、お姉さん」

ドロシー「いいよ……さ、それじゃあ「お姉さん」はここで待ってるからね」男の子が駆け出すとはす向かいの店先に歩いて行き、さりげなく裏通りを監視できる場所をおさえた…

…数分後…

男の子「お姉ちゃん、行ってきたよ!」

ドロシー「ありがとう、早かったね……重くなかった?」

男の子「ぼく、力持ちだもん!へっちゃらだよ!」

ドロシー「そっか…それじゃあ約束のお駄賃だ♪」

男の子「ありがと、お姉ちゃん!」

ドロシー「またね…♪」軽く腰をかがめて視線を合わせ手を振って見送ったが、喜び勇んで駆けていく男の子が角を曲がると、ふっと皮肉な笑みを浮かべた……

ドロシー「……おかげで助かったよ、坊や」

…数時間後・ネスト…

ドロシー「ふう…よいしょ」今まで肩に担いできた袋を床に放り出す…

オニール「そいつは一体なんだ?」

ドロシー「これか? これは当日必要になる「小道具」さ……今開けてやるよ」袋の口ひもをほどくと、なかから真っ赤な上着と黒のズボン、それに飾りの付いた軍帽、白く塗られた革のベルトとエンフィールド小銃の弾薬入れが出てきた…

構成員A「なんだこりゃあ…!?」

ドロシー「見ての通りアルビオン王国「フュージリア(軽歩兵)」連隊の制服さ…細かいところはいくつか違うがね」

構成員B「それより、こんな物をどうしようって言うんだ?」

ドロシー「簡単さ。当日、あんたらにはこれを着てもらう……車列を襲撃するときに同じような制服を着た連中に襲われればどれが敵か分からなくなって、より混乱するからな」

構成員C「けっ……よりにもよってライミーどもの赤服かよ」

ドロシー「文句言うな…私はあんたらに試着させて、そのあとで裾をあげたり詰めたりしなきゃならないんだからな」

オニール「…なるほど、これが「秘策」ってやつか」

ドロシー「いかにも…この制服は芝居用の道具屋で揃えてきたが、店主の爺さんは目が悪いし、私も変装して行ったんでね……まぁ脚はつかないだろう」


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