ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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519: ◆b0M46H9tf98h[saga]
2021/03/12(金) 01:26:47.61 ID:W0ymIRCO0
ドロシー「よし、それじゃあ詳細を話そう…」

ドロシー「……まずロンドンからは今日のうちに出る。スペシャル・ブランチも防諜部も、あんたらがアジトで一日や二日様子を見て、それから脱出を図ると考えている……となるとロンドン中が徹底的に捜索されるだろうし、そうなれば隠れようもない。そこでこっちはこれから一時間もしないうちに出発して、その裏をかいてやろうって寸法だ」

オニール「それはいいが、こっちの大まかな人相や風体はもう手配されているはずだ…汽車じゃ逃げ場所もないが、どうやって切り抜ける?」

ドロシー「なに、そこはフランソワーズと「愉快なお友達」が頭をひねってくれたよ……それがこれだ」そう言うと片隅に置いてあった大きな麻袋を開けて、ごちゃごちゃと入っていた雑多な中身を取り出した……

オニール「こいつは?」小さい香水瓶か薬瓶のようなものを指差した…

ドロシー「これか。これは目薬だがハーブから抽出した色素が入っていてな、数滴ばかり目に指せば一日は青緑色に染まるっていうシロモノでね……ケイバーライト鉱中毒に見えるってわけだ」

オニール「なるほど…」

ドロシー「あんたは怪我をしたってことで、顔を包帯でぐるぐる巻きにさせてもらう」

構成員B「分かった」

ドロシー「それからお前さんは脚を折り曲げて足裏を膝の後ろ側に付け、そこに添え木を当てる。その上で包帯や石膏で固定すれば、膝から先が切断されたように見えるだろう……」

構成員I「なるほど」

ドロシー「最後にあんたはアイリッシュ訛りがきつくて公安の連中に気づかれるかもしれないから、汽車に乗せるときは睡眠薬でぐっすりお休みしてもらう。そうすりゃ受け答えもしなくてすむもんな」

構成員H「おう」

オニール「おれたちの偽装は分かった…それで、あんたたちはどうする気だ?」

ドロシー「ああ、そいつはな……」

…数時間後・キングズ・クロス駅…

検札係「失礼ですが、切符を拝見させて下さい。シスター」

警官「…」

ドロシー「ええ」修道女がまとう紺と白の僧服に敬虔な態度…と、いかにもシスターらしい様子のドロシーとアンジェ、そしてどこからどう見てもけが人に見えるオニールたちに、アルビオン国鉄の検札係も、その横で改札を見張っているロンドン警視庁の警官もすっかりだまされている……

検札係「結構です……ところで、あのけが人たちは?」

ドロシー「はい。彼らはいずれも作業中に怪我をした労働者たちで、今回わたくしどもの教会で寄付を募り、故郷まで送り届けることになったのですわ」

検札係「なるほど…で、切符は?」

アンジェ「私が持っております…どうぞ」

検札係「確かに…」検札係は切符にはさみを入れると改札を通した。一方ドロシーとアンジェは数人のポーター(荷運び)を雇い、二等客車まで担架を運んだ……と、ドロシーは駅舎の柱に貼り付けてある刷ったばかりの号外に目を留めた…

号外「その差はわずか一インチ!女王陛下を狙った凶弾! 犯行は共和国によるものか!?」

ドロシー「……ふっ」

発車係「発車します!」ピーッと甲高い笛を吹くと、白い水蒸気と石炭の黒い煙を吐きながら、ゆっくりとホームを離れていった……

…十数秒後…

防諜部エージェント「……急げ!」

警官「おいっ、止まれ!」

防諜部女性エージェント「防諜部!」手帳を出すと警官の顔面に突きつけた

警官「し、失礼しました…」

防諜部員「おいっ、ここにこんな連中が来なかったか?」オニールたちの似顔絵を見せる…

検札係「いえ、特には……」

女性エージェント「必ずしもこの見た目通りではないかもしれません…とにかく、六人前後で乗車した者たちは?」

検札係「えぇと…パディントン行きの普通列車に乗った行商人たちと、それからカンタベリー行きの急行に乗る旅行者……あ、あとはバーミンガム経由チェスター行きに乗ったシスター二人と怪我人が四人……」

防諜部員「怪我人…!?」

検札係「え、ええ…なんでも怪我をした労働者を故郷まで送り届ける慈善事業とか何とか…そろそろ出発しますが、あの列車の二等車に……」

防諜部員「あれか…急げ!」

防諜部女性「はっ!」改札の柵を飛び越えるとホームを走り、蒸気を上げて発車し始めた列車に飛びついた…

………

…


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