ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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521: ◆b0M46H9tf98h[saga]
2021/03/22(月) 03:18:27.88 ID:7GBLMcGl0
オニール「……ちなみにこの貨物列車は何時ごろ終点につくんだ?」

アンジェ「予定では午後の三時頃にリヴァプールに着きます。ですが終点まで乗っていくのは危険ですから、蒸気機関車が途中の給水所で停車したところで降ります…どのみち駅では警戒されているでしょうから、改札を通るわけにはいきません」

ドロシー「それに「怪我をしたが故郷に戻るだけの旅費がない」出稼ぎの連中とか「より割のいい口を探して回る」炭鉱夫なんかはよく無賃乗車するからな…鉄道職員や警官でもなければ駅以外の場所…しかも貨物列車から人が降りてきても、そこまで注意をむけることはないはずだ」

オニール「そうだな」

…数十分後…

構成員H「…ぐぅ……」

構成員I「……ふわぁ…あ」

オニール「…」

ドロシー「…あんたも少し眠ったらどうだ?」

オニール「いや…もう三十分くらいしたら誰かと交代するが、それまでは起きているつもりだ」

ドロシー「そうかい……」ぽつりぽつりと交わす会話に交じって、レールを刻む単調な音と汽車の汽笛だけが響くなか、不意にアンジェが身体を起こした…

ドロシー「……どうした?」

アンジェ「横の道路…どうやら追っ手のようね」

…そういったときにはすでに黒塗りのRR「フェートン」タイプ二台が貨物列車と併走していて、王国のエージェントが四人乗りオープンスタイルの「フェートン」から身を乗り出し、ドロシーたちの乗っている貨車の数両後ろに乗り込んできた…

オニール「何っ…!?」さっと懐からピストルを抜き、構成員たちをたたき起こす…

構成員B「くそ!ライミーどもか!」

構成員H「撃ち返せっ!」

構成員I「こん畜生っ!構うことはねえ、やっちまえ!」併走している側の扉を開け放つと、腕を突き出してRRに銃弾を撃ち込む独立派たち…

公安部エージェント「行けっ、早く乗り移れ!」

公安部エージェントB「援護します…!」

…時速二十マイルは出ている貨物列車に飛び移ると、積み荷の木箱を挟んで独立派と撃ち合うノルマンディ公直属のエージェントたち……もちろん独立派の構成員たちも必死に撃ち返すが、熟練のエージェントと血気盛んなだけのアイルランド人たちでは腕が違う……ものの数十秒もしないうちに二人が倒れ、腕を撃ち抜かれた一人は銃を左手に持ち替え、必死に応戦している…

ドロシー「ちっ…!」

…シスターのまとう僧服の下に腹巻きのような布を巻いて銃と弾を忍ばせてきていたドロシーは、ウェブリー・リボルバーを抜くと正確な射撃で銃弾を撃ち込んだ…しかし揺れる貨物列車の中、おまけに相手は玄人ということもあってうまく遮蔽物に隠れており、なかなか命中弾が得られない…

ドロシー「くそ、時間を稼がれたら向こうの勝ちだぞ!」

構成員B「ならおれが…!」

オニール「飛び出すなっ、頭を吹っ飛ばされる!」

アンジェ「…ドロシー、このままじゃあ埒があかないわ」ふと耳元に顔を近づけてささやいた…

ドロシー「……やってくれるか?」

アンジェ「ええ…」

ドロシー「よし、頼んだ……!」アンジェの動きを相手に気取られないよう勢いよく銃弾を撃ち込んで、公安部エージェントに頭を上げさせないドロシー…

アンジェ「…」

…さっと半開きにした側面の扉から車外に出て、後ろに回り込もうとするアンジェ…さいわい木造車体の貨車は隙間が多く、板の間に指をかけると蟹のような横歩きで貨車の後ろに向かった…

公安部エージェント「いいか!奴らを逃がさなければいい!」木箱の横から少しだけ身体を出し、牽制するようにモーゼル・ピストルを撃ち込むエージェント…

アンジェ「…っ!」車体の後部に回り込むと片手で貨車についている手すりをつかみ、公安部エージェントの後ろから板越しに「パン、パンッ…パ、パンッ!」と手早く二発ずつウェブリー・フォスベリーを撃ち込む…車体に穴が開き、木片が車内に飛び散るのと同時に、公安部エージェントがもんどり打って倒れる…

公安部エージェントB「ぐう…っ!?」

公安部エージェントC「がはっ…!」

公安部エージェント「…っ!」

ドロシー「…!」アンジェの方に振り向こうとエージェントの姿勢が上がったその隙を逃さず、背中から二発撃ち込んだ…

公安部エージェント「…うっ……」ゴトリとモーゼルを取り落とすと、ばったりと倒れた…

ドロシー「ふぅぅ…」


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