ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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533: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/05/11(火) 02:58:17.62 ID:WmVfD+/b0
…夜中…

ちせ「……そろそろ皆も寝静まった頃合いか…」

ベアトリス「…すぅ…すぅ……」

ちせ「…慣れぬ場所で疲れたのじゃな、無理もない……ゆっくり休んでおるがよい……」

…廊下…

ちせ「…化粧室はこっちだったか……」寝間着代わりに渡されたのはまがい物の「キモノ」ではあるが、ちせはきっちりと帯を締め、衣ずれの音がしないよう裾を払っておき、音も立てずにそっと廊下を進む…

(※キモノ…伝統的な和服を西洋風にアレンジしたもの。帯をほどくだけで脱げることから、エキゾチックなナイトガウンやバスローブ代わりとして、いわゆる「夜の商売」に従事する女性の間でも流行した)

ちせ「…?」

…廊下の奥にある「チョウおばさん」の部屋の扉からはまだ光が漏れていて、何やらくぐもった会話の声も聞こえる…

ちせ「………」抜き足差し足でそっと扉に近寄るちせ…

チョウおばさん「…ほほう、なかなかの上物だねぇ…これは」

会話の相手「もちろん……インド産の精製済み、一オンス当たりで値段はこのくらいだ……」位置が悪く会話している人間の姿は見えないが、どうやら「粉」のやり取りをしているらしい……声を聞く限りでは、相手はそこそこの教育を受けた男性に聞こえる…

チョウおばさん「ちょっと高いねぇ…このくらいでどうだい?」

相手「それじゃあ経費も回収できない。ここまで運ぶのにも金がかかっているんだ…」

チョウおばさん「だったらよそへ持って行くんだね……それだけ大量のブツを抱えたまま新規に捌く相手を見つけるとなると、そりゃあ大変だろうけどさ」

相手「……人の足下を見るのはあまりいい趣味とは言えないな、ミス・チョウ」

チョウおばさん「そのセリフはそっくりそのままお返しするよ…ミスタ・ゴードン」

相手「ふむ…よかろう、それじゃあ今回はこの値段で……」

チョウおばさん「ああ、それなら納得さ…」そういった所で椅子を引く音がした…

ちせ「…」

…とっさに廊下に置いてある巨大な壺の陰に隠れたちせ…両側面に取ってが付いたふた付きの壺は景徳鎮あたりで作られた値打ちものらしく、黒と紫、それに金で胡蝶が描かれている…

紳士の後ろ姿「…ではおいとまさせてもらうよ」

チョウおばさん「ああ、今度はもっと早い時間に来るんだね……」

紳士「ふん…こんな時間の訪問では美容に悪いかね?」

チョウおばさん「そういうことさ……サー・ウィッタリングにもよろしく言っといておくれ」

紳士「言われずともあの方はよく分かっているよ……」二人のシルエットが廊下の角を曲がり、そのまま上客の中でも選ばれた人間しか入れない「貴賓室」へと消えていった…

ちせ「ふむ…どうやら隠し通路は「貴賓室」のどこかにあるようじゃな。それにあの男の声も覚えた……」

ちせ「…いずれにせよ、これで報告のタネができたの……」

ちせ「……さて、後は廊下をうろついていてもおかしくないよう、化粧室に行っておしまいじゃな…」

…化粧室…

ちせ「うむ、これで良し…そろそろ出るとしよう……」数分ほど個室にこもり、夜半に廊下に出ていたことへの「理由」を作ったちせ…そしてそろそろ個室を出ようと言うときになって、化粧室の扉の開く音がした…

ちせ「…間が悪いの…こんな時間に厠へ来るとは、一体誰じゃろうか……」

勝ち気な娘「……ほら、ここなら誰もいないから」

小さい娘「で、でもマダム・チョウが……///」

勝ち気な娘「いくらあの人の地獄耳でもここまでは聞こえないって……それに…」

小さい娘「それに…?」

勝ち気な娘「声を出すのがまずいなら、こうすればいいだけの話だって…♪」んちゅっ、ちゅむ……くちゅっ…♪

ちせ「…これは……しばらくは出られそうにないの///」立ち上がりかけた陶器の便座にもう一度腰かけ、個室の向こうから聞こえるねちっこい音と抑えた嬌声を聞きながら、報告の内容を頭の中でとりまとめた…

………

…


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