ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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583: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2021/11/09(火) 02:47:52.63 ID:eClQ3rFS0
…数分後・図書室前…

アンジェ「ああ、レディ・ウィンドモア…」

クロエ「プリンセス、どうしてこちらに? わたくしはすでにアンとクララが飛行船まで案内したものとばかり……」

アンジェ「ええ。お二人はもちろんそうしてくれるつもりでしたが、途中で行く手を阻まれまして……それで、次善の策としてレディ・ウィンドモアのいらっしゃるここが一番良かろうと思って参りました」

クロエ「そうでしたか……分かりました、どうか室内へとお入り下さい。プリンセスのお命はわたくしどもがお守りいたします」

アンジェ「かたじけなく思いますわ、レディ・ウィンドモア」

クロエ「もったいないお言葉でございます……エリー、ハンナ。お二人をお守りしなさい」

義手のメイド「かしこまりました」

義足のメイド「はい、レディ・ウィンドモア……プリンセス、ベアトリス様…どうぞこちらへ」

…しばらくして…

クロエ「……どうやら侵入者は一掃出来たようでございます…プリンセス」

アンジェ「あぁ、良かったですわ…レディ・ウィンドモア、お怪我は?」

クロエ「いいえ、わたくしも使用人たちもほとんど無事にございます……執事のアダムス老には気の毒ではありますが、命を落としたのが彼一人で済んで幸運だったと言わざるを得ませんわ」

アンジェ「……とはいえ、罪もない人の命が失われてしまったのですね」

クロエ「残念ながら…しかしプリンセス、このような日になってしまったとは言え、この図書室をプリンセスのお目にかけることができて光栄に思います」


…レディ・ウィンドモアが腕を広げて指し示した室内は城の三階分をぶち抜きにした高い部屋になっていて、中央には天体望遠鏡と蒸留器をあわせたような複雑な機材が鎮座しており、機材についている丸いのぞき窓からはケイバーライトの光がぼんやりと漏れている……周囲の壁は四面全てが本棚になっており、一部の本棚には本ではなく小さな機材や肖像画が収められている……そして、プリンセスらしく興味深そうに辺りを眺めているアンジェは動きやすくするためとはいえドレスの裾を破いてしまったので、クロエがエメラルドをあしらったグリーンのドレスを用立てていた…


アンジェ「……ここがあの有名なウィンドモア家の図書室なのですね…素晴らしいですわ」

クロエ「光栄に存じます、ユア・マジェスティ(陛下)」

アンジェ「…レディ・ウィンドモア、わたくしはたかだか王位継承者第四位のプリンセスにすぎませんよ。 その称号を継ぐのはわたくしではなくお兄様ですわ♪」

クロエ「そうかもしれませんが、わたくしの胸の内ではプリンセスこそが王位を継ぐべきお方……そう思っております」そういって緑色の瞳でプリンセスを見る目には、どこか妖しい光がたたえられている…

アンジェ「未熟なわたくしをそこまで信じて下さって恐縮です、レディ・ウィンドモア」

クロエ「もったいないお言葉にございます……ところで、ケイバーライトについてはどの程度ご存じでいらっしゃいますか?」

アンジェ「そうですわね、わたくしが王室技術顧問のサー・ピーターから学んだのは……」

クロエ「あぁ、サー・ピーター・ヒンクリーですか。 彼がケイバーライトについて知っていることなど、せいぜいそのスペルぐらいなものですわ…まして「王室技術顧問」などと言ってプリンセスに何かをお教えするなど愚かしいにもほどがありますわ……分かりました。はばかりながら、わたくしがプリンセスにケイバーライトについて基礎からしっかり説明いたしましょう」

アンジェ「まぁ、レディ・ウィンドモアじきじきに教えていただけるなんて…またとない機会ですわね♪」

…アンジェは事前にケイバーライト研究の第一人者を自任しているウィンドモア家が「肩書きばかり」の王室付技術顧問たちとそりが合わないことをすっかり調べておき、あえてその名前を口にした……すると案の定、レディ・ウィンドモアはふんと鼻を鳴らし、一冊の分厚い本を鍵のかかった本棚から取り出してきた…

クロエ「……これこそ、我がウィンドモア家に代々伝わるケイバーライトの研究資料『緑なる石の輝き』です」

…ずっしりと重そうな金文字の装丁が施された本は、紙の縁にケイバーライト粉をまぶしてあるおかげできらきらと緑色に光って見える…

アンジェ「これが…噂には聞いておりましたが、見るのは初めてですわ」

クロエ「いかにも。王室の図書室にもない貴重な一冊でございます……これは我がウィンドモア家初代当主、サー・ジョンが行った研究の記録にして、大変に有益かつ貴重な文献なのでございます……では、まずはケイバーライトの発見とその利用の歴史から……」

アンジェ「ええ、お願いいたしますわ♪」

…クロエが書見台を引き寄せ、プリンセスの横に腰かけた……プリンセスのお付きとはいえ下級貴族の娘であり、お客様でもあるベアトリスはプリンセスの左に腰かけてはいるが、クロエは気にするそぶりも見せずプリンセスに講義を始めた…

クロエ「……これによってケイバーライトを初めて分離・抽出することが出来、そこから一気にケイバーライトの利用が広がったのでございます」

アンジェ「なるほど……それで分離をする場合は温度と圧力以外の要素は必要なのでしょうか?」


…どの分野であれ、いずれもその道の玄人である相手をがっかりさせないように予習をしておき、ありきたりな通り一遍の質問ではない疑問を用意しておくのが王室の人間としての態度であり、ましてやケイバーライトともあればプリンセスとしての偽装を抜きにしてもをしっかりと知識をおさえているアンジェ……それだけに質問も適切なものが多く、クロエの説明にも熱がこもる…


クロエ「そのことについてサー・ジョンはこう書き残しております……」

アンジェ「なるほど…」説明を聞いて、紙に教わったことをつづりながら記憶力をフル回転させ、貴重な文献の内容を暗記していく…





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