ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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623: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2022/11/29(火) 01:08:25.93 ID:rmFY1LJd0
…部室…

アンジェ「……お帰りなさい」

ドロシー「ああ……ベアトリスも夜分遅くにご苦労さん。プリンセスは部屋か?」

ベアトリス「はい、これが済んだら戻ります」

ドロシー「そうしてくれ……それじゃあ連絡事項だ」そう言うと逮捕されたエージェントに関する情報収集の打ち切りを伝えたドロシー……

ベアトリス「……じゃあそのエージェントは捕まる事を前提に送り込まれたって言うことですか?」

…送り込まれたエージェントと支援グループは貴重な情報源であるプリンセスから防諜機関の視線をそらすため、始めから失敗するような作戦に用いられたらしいというドロシーの話を聞いて、珍しく腹を立てた様子で詰め寄ってくるベアトリス…

ドロシー「まぁ、そういうことになるな。金の卵を産むニワトリを生かすために、普通のニワトリを潰すことにしたわけだ」

ベアトリス「そんな……」

ドロシー「所詮はそんなものさ……いったい何を期待していたんだ?」

ベアトリス「でも……!」

ドロシー「やめろ、言ってもどうにかなる事じゃないんだ……私だって喜んでこんな事をやってるわけじゃない」

ベアトリス「それだったらなおのこと……」

ドロシー「じゃあどうしろって言うんだ? くたびれた捨て駒のエージェントを助け出して、どんなルートで逃がしてやるつもりなんだよ」ドロシー自身も内心では苦々しく思っているために、ついきつい言い方になってしまう……

ベアトリス「それは……」

ドロシー「よしんば奇跡的に助け出したとして、偽造の身分証一つ、ポンド札一枚持っちゃいないんだぞ? おまけに共和国のエージェントだってことは王国中に知られちまってる……うっかりするとこっちにまで火の粉が降りかかることになるんだ」

アンジェ「……それに今回の作戦がプリンセスの安全のためである事を忘れてもらっては困る。この世界では目的のために犠牲を必要とすることもある」

ベアトリス「でも、いくら何でもあんまりです」

ドロシー「いいか、私たちが携わっているのは慈善事業じゃあないんだ……それに大局的に見れば、今回の犠牲によって得られたものが、いずれ多くの命を救うことになる」使い古された空疎な言い訳に、ドロシー自身もヘドが出そうな気分になる……

ベアトリス「だからって……」

ドロシー「分かってる。 私だってそんなお題目で「納得しろ」とは言わねえよ」

アンジェ「ドロシーの言うとおりよ。私たちが好きこのんでこんなことをしているとでも?」

ベアトリス「それは分かっていますが……」

ドロシー「だったら子供みたいな泣き言はよせ。 言っておくがな、私もアンジェも今後の動向次第でいつああなるか分かりゃしないんだ」

ベアトリス「えっ……」

ドロシー「ベアトリス、お前だって知っているだろうが……一時的とは言え共和国が軍部の強硬路線に傾いて女王を除こうとしたとき「コントロール」も軍部に再編されかけて、私もアンジェもこの任務から外されて遠ざけられる予定だった」

ベアトリス「確かにありましたね」

ドロシー「……あのまま行けば軍部の意に染まない情報部員ということで、いずれ私もアンジェも「カットアウト」扱いを受けて切り捨てられるか、よくて毒にも薬にもならない書類仕事に回されるのがオチだったろう……だけどな、エージェントってのはそれを知った上で平然としてなきゃならないんだよ。あの時アンジェが命令をまるごと無視してプリンセスを助けに来たことだって、方針転換があったからどうにか黙認されたようなものの、本当だったらクビにされていたっておかしくなかったんだからな」

ベアトリス「あの、まさか「クビ」っていうのは……」


ドロシー「いや、別に生命までとるってわけじゃない……ただ帰国命令を出されて、戻ったらそれっきり日の目を見ることはなくなるってことだ。エージェントを辞めさせられ、それ以外で生計を立てようと思ったって、情報部は推薦書類の一枚だって書いちゃくれないし、年金ももらえない。 そしてもし墓に入るようなことがあったとしても、墓石はおろか花の一輪だって供えてはくれないし、「R.I.P.」(Rest In Peace…安らかに眠れ)とさえ書いてもらえないだろうな」自嘲気味にそういうと、苦笑してみせた……


アンジェ「それに例えどこかに勤めようと思ったところで、エージェントだった経歴を書くわけにはいかないもの」

ドロシー「そういうこと。もし本当のことを書いてみろ、採用係だって目を回しちまうよ」

ベアトリス「それは……そうですね」

ドロシー「分かってもらえたようで結構」

ベアトリス「はい」

ドロシー「よし、分かったならもう寝ていいぞ……後の書類仕事は私とアンジェでやるからな」

ベアトリス「そうします、ではお休みなさい」無理していつも通りの声で「お休み」をいうベアトリス……

アンジェ「お休み」

ドロシー「お休み。せめていい夢をな」



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