ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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624: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2022/12/08(木) 01:46:36.83 ID:s/B6tjh40
アンジェ「……ドロシー、そっちの報告書をお願い」

ドロシー「ああ」

…ベアトリスを帰した後、二人で黙々と書類仕事をこなす二人……もちろんエージェントが「アルビオン共和国情報部様」で領収書を切ってもらうことなど出来るはずもないが、会計課を黙らせるためにもおおまかな活動資金の流れは報告しておかないと後がうるさい…


ドロシー「はぁ……」カバーとしての学生生活とエージェントの「二足のわらじ」で、なおかつここしばらく活発になっていた情報活動のせいもあって寝不足のドロシー……体力は多い方だが、ランプの下で数字の羅列と取っ組み合っているとさすがにあくびが漏れてくる……

アンジェ「……」

ドロシー「……ふわ……ぁ」

アンジェ「……ドロシー、少し寝たら?」

ドロシー「冗談よせよ、お前が寝ないで書類書きをやってるっていうのに、私だけグースカ寝ていられるかよ……ふわ……」

アンジェ「その調子でやられても訂正だらけになるのがオチよ……現にここの数字が間違っている」

ドロシー「本当かよ……あー、くそっ」

アンジェ「だから言っているでしょう。 幸い私は昼間に居眠りをさせてもらったからまだ平気だし、しばらく仮眠を取ってちょうだい」

ドロシー「悪いな……それじゃあしばらくしたら起こしてくれ」

アンジェ「ええ」

…あきらめて椅子に背中を預けると、すぐこっくりこっくりと船を漕ぎ出したドロシー……それから十五分ばかり、底冷えのする部屋でアンジェが黙々とペンを走らせている中でドロシーの静かな寝息だけが聞こえていたが、急に息づかいが荒くなったかと思うともだえるように手で空中をかきむしり、最後はがばっと椅子から跳ね起きた…

ドロシー「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」

アンジェ「大丈夫?」

ドロシー「あ、ああ……大丈夫だ。それにしてもひでえ夢を見た」

アンジェ「ずいぶんうなされていたようね」

ドロシー「だろうな……くそ、こいつは間違いなくさっき食ったスティルトン・チーズのせいだ」

アンジェ「あれを寝る前に食べると妙な夢を見たり、夢見が悪くなるというものね……良かったら私に話してすっきりしたら?」

ドロシー「あー、いや……他人が見た悪夢の話なんて聞くものじゃないさ」

アンジェ「構わないわ」書類から目を離すことなく淡々と言ったが、その声には少しだけ優しさのような気持ちが入っている……

ドロシー「そうか、じゃあ……実はな、革命前後の夢を見たんだ」

アンジェ「……」

ドロシー「おぼろげなくせして細かい部分は妙にはっきりしてやがって……道端に転がってた片腕の取れた人形だとか、割れて粉みじんになってるガラスに、焼き討ちにあった店……」額に浮かんでいた冷や汗を拭い、張り付いていた前髪をかき上げた……

アンジェ「嫌な夢ね……一杯飲む?」ブランデーやウィスキーがしまってある部室の隠しスペースの方に向けて軽く視線を向けた……

ドロシー「いや、悪夢を見るたんびに酒に頼ってたら早々にアルコール中毒患者さ……やめとくよ」

アンジェ「そう」

ドロシー「ああ……さ、書類の残りを片付けちまおう」

…一方…

ベアトリス「ただいま戻りました……」

プリンセス「お帰りなさい、ベアト」

ベアトリス「ええ……いま寝支度を整えさせていただきますね……」

…表向きはいつも通りテキパキとしているが、その心の中ではドロシーたちから聞かされた「捨て駒」のエージェントや、意に染まぬエージェントたちの扱いといった冷酷な話がずっとこだまのように反響したままで、素直で優しい性格のベアトリスは我慢しようと思っても自然と目頭が熱くなってくる…

プリンセス「ベアト、どうかして? ……泣いているの?」

ベアトリス「いえ、大丈夫ですから……」

プリンセス「そうは思えないわ……ほら、こっちにいらっしゃい」両腕を広げ迎え入れるようにしてベッドに腰かけた……

ベアトリス「姫様……」

………

…


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