ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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635: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/03/21(火) 01:31:21.86 ID:dfZ9ScMG0
………

…

ドロシー「……ってな具合で、見事に課題をお楽しみにしちまった訓練生がいたんだとさ♪」

ベアトリス「うわぁ……///」

アンジェ「そんなのはファームで訓練生同士が広め合っている馬鹿馬鹿しい噂話にすぎないわ、実際にそんな訓練生がいたとは思えない」

ドロシー「どうかねぇ……ま、とにかく色んな訓練があったもんさ。それはそうと、どんなことがどこで役に立つかなんて分かりゃしないんだから、これからも身を入れて訓練するこった」

ベアトリス「はい。でもベッドでのいろんな事は私に必要あるとも思えないですけれど……///」

ドロシー「分からないぜ? もしかしてプリンセスから夜伽の求めがあるかもしれないしな」

ベアトリス「もうっ、ドロシーさんっ!」

ドロシー「はははっ、悪かったよ♪ さぁ、とっとと片付けてアフタヌーンティでも飲みに行こうぜ?」

…夜・部室…

ドロシー「さてと……昼は身体を動かしたから、今度は頭を使って暗号についての授業と行こうじゃないか」

ベアトリス「はい」


…学校での勉強や課題を終わらせ、それからエージェントとしての「勉強」にとりかかるベアトリス……いくら腕利きエージェントのドロシーとアンジェでも、本来ならそれ専門の教官と施設を使って教えるべきものを即席で教え込むとなるとなかなかに大変で、情報部員として最低限必要な知識や技術を伝えるのには苦労していた……とはいえベアトリスは真面目な生徒で飲み込みも良い方なので、ドロシーとアンジェにとっても座学の時間は復習を兼ねたいい機会になっていた…


ドロシー「まずはおさらいだ……暗号は基本的に「サイファー」と「コード」の二つで出来ているのは覚えているよな?」

ベアトリス「覚えています。サイファーは文字を一文字ずつ置き換えるもの、コードは特定の文や単語を専用の文字列に置き換えるもの……ですよね」

ドロシー「よろしい、その通りだ」

アンジェ「……基本的に一文字ずつを特定の変換方法で置き換える暗号は、どうやっても暗号としての強度は弱い。そこで置き換え方法を途中から変えたり、解読した文章をさらに置き換えたりすることで暗号の強度を保つ」

ドロシー「中世ヴェネツィアはオスマン・トルコに置いていた大使館から、暗号を楽譜にして郵送したこともあった……もっとも、あんまりにも本国へ送る楽譜が多いと怪しまれるから、そうたびたび使うわけにもいかなかったそうだが」

アンジェ「他にも円盤型の置き換え表なんていうのもある」

ベアトリス「それは聞いたことがあります……たしか時計の文字盤のように文字が並んでいて、同心円状になっているそれぞれの円周に違った文字列が並んでいる……」

ドロシー「ああ、そうだ……例えば外周の円にはギリシャ文字、真ん中は数字、内側にはアルファベットみたいに、置き換え表次第でいくらでも好きなように変換できるってシロモノだ」

アンジェ「しかしこれも解読しようと思えばできないこともない」

ドロシー「そこで、単純な一文字ずつの置き換えをやめて、一文字を複数の文字と数字の組み合わせに置き換えたり、あるいは特定の単語を特定の文字列に置き換える「コード式」の暗号を組み合わせることになった」

アンジェ「例えば「A・B・C・D・E……」というのを「0・1・2・3・4……」と規則的に置き換えただけでは簡単に解読されてしまうけれど、ランダムに選んだ文字列で形成されたコードが文中にあったとしたら解読のしようがない」

ドロシー「ただ、コード式の暗号にも欠点はある……伝えたい文章や内容を発信者と受信者双方が知っているコードにしておかなきゃいけないってことだ」

アンジェ「例えばだけれど「リンゴを食べた」という暗号を送りたかったとする。そしてもし「リンゴ」というコードがあったとしても「食べた」がなかったとしたら、その部分は置き換え式の暗号で送るか、さもなければ白文(通常の文)で送るしかなくなる」

ドロシー「そうなると暗号としての強度はガタ落ちになる……なぜなら「食べた」の部分が分かれば残るコードの部分は「なにかの食べ物」だってことが類推できるからだ」

アンジェ「そうしたらあとはそのコードを含んだ他の文を解読していけばいいだけ」

ドロシー「そう。例えば「リンゴ」のコードを含む暗号文に「赤い」だとか「アダムの」だとかが付いていれば、対象は「リンゴ」に絞られちまうってわけだ」

ベアトリス「まるでなぞなぞですね」

ドロシー「ま、似たようなもんさ。だから暗号解読にはパズルの得意なやつだとか数学の出来るやつがよくスカウトされるんだ。今はどうだか知らないが、以前は新聞に掲載された懸賞パズルを解いたやつを解読係として採用したこともあったっていうしな♪」

アンジェ「そういうこと。 それとドロシー、私はそろそろ定期連絡の受信があるから……」

ドロシー「あいよ、それじゃあ残りの講義は私がやっておくよ」手をひらひら振ると、アンジェを見送った……

ベアトリス「……アンジェさんも忙しいですね」

ドロシー「まぁな……このところ女王の後継者を巡る派閥争いで王国も忙しいからな」

ベアトリス「ええ……」

ドロシー「なぁに、プリンセスなら大丈夫さ……あの女性(ひと)は見た目よりもずっとしっかりしているし、なによりお前さんがついているんだ……だろ?」

ベアトリス「ありがとうございます……///」

ドロシー「いいんだよ、気にするなって」軽く笑ってみせるとブランデーを垂らした紅茶を一口飲んだ……


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