ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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644: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/04/28(金) 00:58:01.65 ID:2OcjMk570
ベアトリス「……そ、それで」

ドロシー「ああ、無事に殺ったよ……」

………

ドロシー「……」

いかつい男「うい……っく」

…標的の男は身長も幅もたっぷりあり、気の小さい人なら近寄ることも遠慮するような裏通りを我が物顔でのしのしと歩いて行く……歩道に放り出されている生ゴミや、時には寝ている失業者の身体を脚でどかし、思い出したように上着のポケットからラム酒の瓶を取り出してはラッパ飲みしている…

ドロシー「……」

いかつい男「……んぐ、んぐっ」

…男は薄汚いパブや怪しげな下宿屋、それに古い調理油のすえた臭いを漂わせている料理屋を通り過ぎ、次第に運河の方へと歩いて行く……その後方、二十ヤードばかり後ろから早過ぎもせず、また遅すぎもしない歩みで決行のタイミングをうかがっているドロシー…

いかつい男「ちっ、無くなっちまった……」飲み干したラムの空き瓶を歩道に投げ捨て、ぶらぶらと歩いて行く……

ドロシー「……」

…左右の家々は崩れかけ、また煤煙で真っ黒に汚れていて、ときおり港を出る船が鳴らす出港の汽笛が「ボー……ッ」と余韻を残して鳴り響く……ドロシーは上着の下からウェブリー&スコット・リボルバーを抜き出すと、撃鉄をカチリと起こした…

いかつい男「……ひっく」

ドロシー「……」

…道端に捨てられている生ゴミやすり減っている歩道の敷石で滑ったりしないよう慎重に距離を詰めていく……大柄なドロシーだが訓練のおかげで足音を立てることもなく、標的の真後ろ、ほんの数ヤードの距離まで近づくとぴったりと照準を合わせた……そのまま小さくため息を吐くように軽く息をして、船の汽笛が鳴るのを待つ……と、また船の汽笛が長く尾を引くように鳴った…

ドロシー「……」パン、パンッ!

いかつい男「……っ!」突如心臓を撃ち抜いた二発の.380口径の銃弾に、胸をかきむしりながら裏路地に倒れ込む……

ドロシー「……よし」

…通り過ぎながら軽く身を屈め、首筋に指を当てて息の根が止まっている事を確かめると普段通りに歩き去る……緊張と興奮のためか身体は火照りを覚えているが、どうにか落ち着かせて運河沿いに出ると、弁当のサンドウィッチなどがよく入っていそうな紙包みでウェブリーをくるむと、何気ない様子で運河に投げすてた…

………

…半時間後・指定のネスト…

ドロシー「……」特定のリズムでドアをノックするドロシー……

スカーレット「あら、お帰りなさい」

ドロシー「どうも。無事に戻りましたよ」

スカーレット「そのようね……さ、中に入って?」

…居間…

スカーレット「……それで?」

ドロシー「数ヤード後ろから心臓に二発。きちんと確認もしました」

スカーレット「おめでとう、これで貴女は無事合格よ♪」さしたる家具もない下宿屋の一室なので「シャンパンでお祝いというわけにもいかないわね」と、注ぎ口の欠けたポットから薄い紅茶を注いでくれるスカーレット……

ドロシー「ありがとうございます」

…鋼のような精神を訓練で身に付けたはずだがそれでもわずかに手が震え、口もカラカラに渇いているドロシー……教官の前で余裕の笑みを浮かべてみせながらどうにかカップを持って、ぬるくて甘い紅茶をすすった…

スカーレット「いいえ……私も卒業試験が終わった時は手が震えたものよ♪」

ドロシー「教官にはすっかりお見通しでしたね」

スカーレット「いいえ、貴女は上手に隠せているわよ……ちょっとカマをかけてみたの」

ドロシー「おっと」

スカーレット「ふふ……それじゃあ、飲み終わったらここを引き払いましょう。この後は本部の指示に従ってカバーやレジェンドを作り、頃合いとなったら実際の任務に就くことになる」

ドロシー「ま、どうにかやってみせますよ」

スカーレット「貴女なら十分できるわよ、優秀な生徒だったもの……飲み終わったようね、行きましょう」二人はカップの紅茶を飲み干すと茶器を台所に片付け、裏口から霧がかった西ロンドンの街へと姿を消した……

………

…


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