ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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666: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2023/10/15(日) 02:14:19.35 ID:mcroRjIZ0
…しばらくして…

ドロシー「……どうにも嫌な感じだな」

アンジェ「というと?」

…絶対に盗み聞きされる心配がない、もやのかかった海沿いの遊歩道を歩くドロシーとアンジェ……ドロシーは差しかけた日傘をくるくると回してひょうきんな様子を装っているが、アンジェには困惑している様子が見て取れた…

ドロシー「いや、実はさっきメールドロップ(メッセージの隠し場所)をのぞいてきたら印があってな」

アンジェ「今回の任務は王国の飛び地……しかも内務卿が目を光らせている場所だから、コントロールも「よほどの事がない限り連絡はしない」という話だったはずよ」

ドロシー「そう、つまりその「よほどの事」が起きたって事だ」

アンジェ「それで?」

ドロシー「メッセージによると、昨晩のパリ発夜行列車でフランス情報部員が数名、ここに潜入したらしい」

アンジェ「……もしかして、私たちの存在が?」

ドロシー「だとしたら今ごろは刑務所さ♪」

アンジェ「なら彼らの目的は……」

ドロシー「さあな。ただ、ノルマンディ公がきっちり抑えている王国の飛び地にフランス情報部の連中がやすやすと潜入できたこと自体が驚きだ……もしかしたら連中を泳がせてなにかを「釣り上げ」たいのかもしれないし、双方の利益になるような事があって「一時休戦」したのかもしれない」

アンジェ「いずれにせよ厄介ね」

ドロシー「ああ。どのみちワインのおりをかき立てるような事態になるのは目に見えている」

アンジェ「とはいえ今回私たちが行うのは情報の受け渡しだけ……ナイフ一振りさえも持っていないし、どうしようもないわ」

ドロシー「ああ。コントロールもそれを見越して「最低限の武器を用意したから、必要なら指定の場所で回収しろ」と伝えてきたんだが……どう思う?」

アンジェ「そうね……たとえフランス情報部とノルマンディ公がル・アーヴル市内をひっくり返してスパイ捜しをしたとしても、私たちは学生としてここにいるわけだから心配はいらないはず。むしろカバーを無駄にするような武器の類は必要ない気もするわ」

ドロシー「だけど船の事がある。少なくとも明後日まで動けないとなると、それまでに包囲網がキツくなってくるはずだ」

アンジェ「そうだとしても私個人としてはあまり賛成できないわ。本当にノルマンディ公やフランス情報部に追い詰められたらピストルの一挺や二挺でどうこうできるものでもないし、スパイは銃の腕前よりも偽装の腕前が重要のはずよ」

ドロシー「まぁな、そいつはお前さんの言うとおりだ……」

アンジェ「最後まで聞きなさい……とはいえ欠航のこともあるし、対抗する手立てがあって悪いものでもない。銃の種類次第だけれど、あまり目立たないようなものなら回収してもいいんじゃないかしら」

ドロシー「おいおい、脅かすなよ……それじゃあアンジェ、お前さんが回収に行ってくれ。場所はさっき伝えた通りだ」

アンジェ「分かった」

…しばらくして…

ドロシー「なるほど、確かにこれなら女学生が持っていてもおかしくはないが……」ぶすっとした表情でアンジェの回収してきた「武器」を眺めている……

アンジェ「口径はともかく、ピストルはピストルよ……近距離で目でも撃てばそれなりに効果はあるはず」


…テーブルに置かれているのは婦人用のハンドバッグに入る程度の自衛用ピストル二挺で、手のひらに隠れてしまいそうな護身用ピストルはつばを吐くよりはまだマシといった威力のものだった……仮に持っているところを見つかっても言い逃れができるように、見た目はいかにもお嬢様の好きそうな綺麗な彫刻が施されているが、コントロールの気配りとして光を反射して目立ちやすい金や象牙は避け、シックないぶし銀と紫檀の握りをあしらっている…


ドロシー「鳩に豆鉄砲を撃ち込んだときの方がよっぽどまともな成果が得られそうだがな……」ぼやきながら護身用リボルバーのシリンダーを開き、薬室や銃身の状態を確かめるドロシー……

アンジェ「手元に銃を欲しがったのは貴女よ、私じゃない」そういいながら掃除用の小さなブラシで銃身の内部を綺麗にしている……

ドロシー「やれやれ……まぁ、これならお嬢様だの女学生だのが持っていてもおかしくはないよな」

アンジェ「それに、アルビオンから持ってきた「ヴェロ・ドック」リボルバーよりは幾分かマシだと思うけれど」

ドロシー「あれはほとんど音だけだからな……分かった、これで満足したことにするよ」

アンジェ「そうして」

…とはいえ用心深い二人はどこで役に立つか分からないと、ヴェロ・ドック・ピストルに込める「.22ショート・リムファイアー」の弾薬を箱から取り出して一発ずつ確かめては不良品を取りのけ、良さそうな弾薬を装填した……

ドロシー「……この「秘密兵器」でフランス情報部やノルマンディ公配下のエージェントが慌てふためいてくれりゃいいがな」

アンジェ「ドロシー「馬鹿と鋏は使いよう」よ」

ドロシー「結構なご意見だね……いざとなったらちせの刀に任せるとしよう」

アンジェ「よっぽどな事態になったら、ね」


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