ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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677: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/01/09(火) 01:46:15.86 ID:Tu4LE4B20
…しばらくして・集合地点…

ドロシー「戻ったか」

ちせ「うむ……」千代の形見の脇差を手に、車へと乗り込んできたちせ……用心は怠りないが、その表情にはもの悲しげな雰囲気が混じっている……

アンジェ「……ドロシー、霧が晴れてきた」

ドロシー「分かってる」

アンジェ「それと、フランス側と例のサムライたちが手はずしておいた猶予の時間も過ぎたようね……近くの駐屯地から動員された兵隊が道路を塞ごうとしているわ。見とがめられる前に離脱しないと」

ドロシー「ああ……任せておけ。アンジェ、こいつをちせに着せてやってくれ」

アンジェ「ええ」ドロシーがトランクから引っ張り出した衣装の中から子供っぽいフリルのついたガウンやスカート、リボン付きのボンネットを手際よく着せていく……

ちせ「……これはなんじゃ?」

ドロシー「いいから任せておけ。お前さんは黙ってりゃいい……アンジェ?」

アンジェ「サ・ヴァ」

ドロシー「よし、それじゃあ行こう」ドロシーはお抱え運転手らしいチョッキと上着を着て、フランス人らしいベレー帽を目深にかぶった……

…道路上…

兵士「おーい、停まれ!」森を抜ける田舎道に兵士が四人ばかりと、指揮官らしい軍曹が一人立っている……道端には叉銃(さじゅう)の状態で立ててあるルベル小銃が三挺ほど置いてあり、一人の兵士が小銃を持ち、もう一人の兵士が大きく手を振りながらドロシーたちの乗用車を停める……

ドロシー「……アンジェ」

アンジェ「一体何ですの!? わたくしは急いでいるのです!」兵士に車を停められるやいなや、後部座席から気難しい声を出したアンジェ……日頃から「チェンジリング」でプリンセスと入れ替わり、気位の高い貴族たちと接することも多いアンジェとしては、それがフランス人であっても物真似などたやすい……

兵士「は、あの……」

アンジェ「あなたでは話になりません、一番偉い人を連れておいでなさい!」

兵士「は、はい……軍曹どの!」相方の兵士に見ているよう頼むと、木陰にいた軍曹の元へと駆け寄って、なにやら説明している……

軍曹「失礼します……ボンソワール、マダム」ノルマンディ飛び地を支配しているアルビオン王国の協力者であるフランス亡命貴族や王党派、それにいやいやながら参加している地元のノルマンディ人でなる傀儡政府「フランス王国」陸軍の制服をまとった軍曹が丁寧に挨拶した……

アンジェ「あなたがこの隊の指揮官ね? わたくしは急いでいるのです。何の検問かは存じませんけれどね、早く通して頂戴!」

軍曹「は、マダムの仰せとあればすぐにでもそうしたいのですが……なにぶん大尉殿から「道を行く車や馬車は全てこれを検索せよ」との命令を受けておりまして……」

アンジェ「……わたくしからその「大尉殿」に、あなたの共和主義者のような態度を伝えてもよろしいのよ?」

軍曹「いや、滅相もありません! ……後部座席の方はお子様でいらっしゃいますか?」

アンジェ「ええ、そうよ。旅先で熱を出してしまったから市街のお医者様のところまで急いで連れて行くところなの……分かったなら早く通しなさい」

軍曹「はっ、ただいま! ベルトラン、道を空けろ!」

ドロシー「くくくっ……アンジェ、お前さんスパイで食えなくなったら芝居に出るといい。まるでホンモノだったぜ♪」検問を通り過ぎると、ドロシーがからかった……

アンジェ「このくらい当然よ……」

…翌朝・港…

高級船員「はい、では確かに……どうかお足元にご注意下さい」

ドロシー「ええ、ありがと♪」

…アルビオン王国の一部である「ノルマンディ飛び地」からアルビオン王国本土へと向かう旅客が通過しなければならない「出国」審査を済ませ、船のタラップを上ったドロシーたち……船の高級船員も、プリンセスも通っている名門校「クィーンズ・メイフェア校」の制服を着ているドロシーたちを下へも置かず、あれこれと気を使ってくれる…

高級船員「それと、お手回りの品をお嬢様方が持って行く必要はございません、ボーイに運ばせますので」

ドロシー「まぁ、ご丁寧に……それじゃあこれ、取っておいて♪」いかにも遊び慣れている貴族の令嬢らしく、手際よくそれなりのチップをつかませる……

高級船員「ありがとうございます、ご学友さまの荷物もご一緒でよろしいですか?」

ドロシー「ええ、お願い……それにしても昨日、一昨日と霧のせいでお船が出られなくて困ってしまったわ」

高級船員「女心とドーヴァーの霧ばかりは予想がつきませんからね……おっと失礼♪」

ドロシー「ふふ、その様子だと予想がつかなくて困ったことがあるみたいね?」

高級船員「いやはや、これは一本取られました……そろそろ出港ですが、今日はべた凪ぎで快晴ですから、ドーヴァーの白い崖もよく見えますよ」

ドロシー「ありがとう、なにか欲しいものがあったらボーイさんを呼ぶわ」

高級船員「ええ。それでは良い船旅をお楽しみ下さい♪」

………

…


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