ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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679: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2024/01/15(月) 00:03:41.93 ID:HedBtJ3C0
…ロンドン港…

船員「またのご利用をお待ちしております、お嬢様方」

ドロシー「ありがとう……さーて、港の様子は……っと」船を降りる舷梯(タラップ)からさりげなく視線を走らせる……

税関職員「行ってよし、次の方!」

ドロシー「……おーおー、相変わらず雁首並べていやがるなぁ」

アンジェ「別に検査の人員が多かろうが少なかろうが、いつも通りに振る舞えばいい」

ドロシー「まぁな、別にやましいものがあるわけじゃなし」

…マルシェで合い言葉を言って素性の分からないティーカップを受け取ったドロシーとアンジェだったが、たとえ「入国審査」で引っかかったとしても「あくまでもティーカップを買っただけ」と言い抜け、他のことについては知らぬ存ぜぬを通すつもりでいる……貴賓室や一等船室の貴族や上流階級は船内でごく丁寧に、それ以下の一般船客は身分や階層ごとに時間を分けて船を降ろされ、列に並んで検査を受ける…

ちせ「落ち着いたものじゃな……」

ドロシー「当然さ、焦ったところでなんにもならないからな」

税関「次の方!」

アンジェ「来たわね……はい」

税関「では、旅券を拝見」

アンジェ「どうぞ」

税関「旅の目的は?」

アンジェ「連休を使っての観光旅行です」

税関「……申請したときと、実際にノルマンディ飛び地にいた日数が異なるようですが?」

アンジェ「ええ。本当は昨日には帰ってくるつもりだったのですけれど、一昨日からの霧で海峡横断の船が欠航になってしまったものですから……電報は打ったのですが、きっと学校の先生に怒られてしまいます……」

税関「なるほど……荷物はこれだけ?」

アンジェ「はい、これだけです」

税関「なにか持ち込み禁止の品であるとか、規定を超える額になる金や宝石、高級酒、工芸品、織物等は入っていませんね?」

アンジェ「入っていません」

税関「では職員が荷物を開けます……メアリー、頼む」きっちりした感じのひっつめ髪にした女性職員がトランクを受け取ると、最低限の配慮として他の旅行者からは見えないように囲いの陰で蓋を開け、中身を確認する……

女性職員「これは?」

アンジェ「船酔いに備えて買ったコニャックです」

女性職員「なるほど、規定量以下ですね……それからこれは?」

アンジェ「学校の友達にあげるお土産で買ったレースのストッキングです」同性とはいえ他人に下着や寝間着をあらためられるのは恥ずかしいとばかりに、年相応に恥ずかしげな様子で顔をうつむけた……

女性職員「ふむ、まぁいいでしょう……ん?」

アンジェ「なにか?」

女性職員「ええ、これはなんですか」荷物を戻してふたを閉めかけたところでトランクの口を開け直し、急に興味を持ったような口調で問いかけた……

アンジェ「えっ、あぁ……それならマルシェで買ったお土産です」

…それはアンジェが自分の手のひらのようによく知っている入国管理局や税関特有の手口で、一旦検査が終わりかけたように見せかけたところで急に何かに興味を持ったような口調で問いかけ、やましいところのある人間がぎくりとするかどうかの反応を見る一種の「ひっかけ」だった……しかし年若くとも一流のエージェントであるアンジェがそんな子供だましに引っかかるわけもなく、それらしく適度に驚きつつも「まだ続くのか」という困惑を少し込めた、ごくさりげない反応をしてみせた……

女性職員「開けさせていただきます」

アンジェ「どうぞ」木箱に入っているティーカップを取り出し、裏の刻印や箱そのものをひとわたりチェックする……

女性職員「なるほど……結構です」

税関「はい、どうぞ」旅券に仰々しいハンコを押すとアンジェに返した……

アンジェ「ありがとうございます」

税関「どういたしまして……はい、次の方!」

ドロシー「はーい」

………

…


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