ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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729: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/03/06(木) 01:16:26.36 ID:H+yIyRxM0
…昼時…

ドロシー「さて、それじゃあ当日の行動についておさらいと行こうか」

ちせ「よろしく頼む」

ドロシー「ああ……今回の見本市では新大陸の植民地から食品、機械製品、繊維などさまざまな物がくる。規模はそこまでじゃないがいずれも魅力ある商品でかなりの来場者が見込まれる」

ちせ「ふむ」

ドロシー「知っての通り北米大陸の植民地はアルビオン王国が総督府を置いて運営しているが、フランスはカナダのケベックを巡って争った事があるから現地民を焚きつけてこれを転覆させようと躍起になっている」

ちせ「どこもかしこも変わらぬのう……」

ドロシー「列強の縄張り争いなんてのはそんなもんさ。一方、南隣のメキシコやカリブ海の島々は南米大陸への足がかりになる重要な場所で、同時に金や銀、綿花や生ゴムなんかも採れる資源豊かな土地だから、アルビオンと元の宗主国であるスペイン、それに火事場泥棒を狙ったフランス、ドイツがしのぎを削って争っている。そして当然ながら、それぞれが裏で糸を引いている各種の独立勢力や民族主義者、革命家なんかがひしめき合っている」

ちせ「むむむ……」

ドロシー「ま、とりあえず中米のことは覚えなくてもいい……一応そういう状況だってことを理解しておけばいいさ」

ちせ「承知した」

ドロシー「それで、だ……私とお前さんは仲良く手を繋いでその場所に会場に行き、色々話を聞いてメモを取りながら会場を回る」

ちせ「メモを取るのは人目を引くのではあるまいか」

ドロシー「うら若き女学生が貿易や外国の文物を学ぶためにメモを取る……なんにもおかしな事じゃないし、むしろ自然だ。あまり熱心すぎるのもおかしいからほどほどにして、食べ歩きなんかもしながらぶらぶらする」

ちせ「ほほう、食べ歩きか」

ドロシー「ああ。活動費はせしめてきたから安心して楽しんでいいぞ♪」ぽんぽんっ……と財布の入っているハンドバッグを叩いた……

ちせ「うむ、何があるかは分からんが期待大じゃな」

ドロシー「ああ、なまじ鋭い目つきでうろうろしていると感づかれるかもしれないからな。ほどほどにくだけた態度で過ごすのが一番なのさ♪」

ちせ「あい分かった」

ドロシー「もしも向こうの連中に植民地英語でまくし立てられたら私が代わってやるから、そいつも心配しなくていい」

ちせ「よろしく頼む」

ドロシー「おう、大船に乗った気でいればいいさ……一般公開日は数日あるが通い詰めるのはおかしいから、そのうちの二、三日にお邪魔する予定でいこう」

ちせ「うむ」

………

…

…数日後・見本市の会場…

ちせ「おお、なかなかにぎやかじゃのう」

ドロシー「移動サーカスまで来ているとはな……目くらましにはちょうどいい」

…会場までは臨時のダブルデッカー(二階建てバス)や乗合馬車が運行していて、ドロシーとちせはメイフェア校の制服に身を包み、あれこれ指差して談笑しながら会場に向かっていた……見本市の会場は道路の向かいに広場を構えた建物で、中にはさまざまな商品見本や展示物を並べたブースが広がり、広場ではちょっとした移動サーカスや屋台の出店、仮設テントなどが詰め込まれてお祭りのようなにぎやかさだった…

ちせ「のうのう、あの屋台はなんじゃ?」

ドロシー「植民地風のサンドウィッチさ……小腹が空いたら買うとしよう」

ちせ「ではあれは? まるで小さな伊勢エビじゃが……」

ドロシー「ザリガニだな。あっちの湿地帯では良く採れるから食べるって聞いたことがある」

ちせ「ふむふむ、では……」

ドロシー「おいおい。確かにくだけた様子でいいとは言ったが、私は観光ガイドじゃないんだぜ? それに任務のことも忘れてもらっちゃ困る」

ちせ「いや、うむ……それはもちろん……///」

ドロシー「どうだか……ま、多少はしゃいでくれた方がこっちとしてもやりやすい♪」

出店のオヤジ「お嬢ちゃん方、ミントジュレップはどうだい! 今日はぽかぽか陽気だし、冷たいやつで喉をうるおしていかないかい?」

(※バーボン・ウイスキーをミネラル・ウォーターか炭酸水で割り、ミントと砂糖で風味付けした飲みやすいカクテル)

ドロシー「お、ちょうど喉が渇いてきたところだったんだ♪」

ちせ「……のう、ドロシー……あれは酒じゃろう?」後ろからこっそり袖を引いて耳打ちした……

ドロシー「ああ。大丈夫、飲めなかったら私が請け負ってやるから心配するな……二杯もらおうかな♪」

オヤジ「毎度っ!」


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