ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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732: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/04/02(水) 01:11:52.51 ID:utwjoDrG0
ちせ「ちゅぱ……ちゅ……ふむ、ふぁかふぁかなふぁじじゃ……」

ドロシー「なかなかの味だって? そりゃ良かったな」

…残念賞にもらったキャンディを口中で転がしながら感想をつぶやくちせを横目に、さりげなく監視を続けるドロシー……テンガロンハットの男は貿易商かなにかのようだが顔が広く、あちこちの出店やブースに顔を出しては調子よくあいさつを交わし、通りがかるご婦人方には笑いかけてみたりとそつがない…

ドロシー「……うーん、あいつじゃないのか?」

ちせ「ほうか?」

ドロシー「まだ分からないな……いいけど喉に詰まらせるなよ?」

ちせ「うむ」

…会場は昼時が近づいてきて、食べ物の屋台がにぎわいだした……肉を焼く香ばしい匂いやマスタードの香り、炭のいぶる匂いなどに誘われて、老若男女がぞろぞろと人波を作っている……ドロシーは男を見失わないよう、かといって疑われない程度に距離を開け、店を冷やかしながらゆっくりと歩いている…

ちせ「向こうに曲がるぞ、追うか?」

ドロシー「いや。ずっと進路が一緒じゃおかしいからな……どのみちあの道はこの通路と向こうで合流するし」

ちせ「承知した」

ドロシー「……それはそうと、そろそろ昼なのに手ぶらじゃおかしいな……せっかくだし昼飯にするか」

ちせ「うむ、実を言うと少しばかり空腹であったのじゃ」

ドロシー「決まりだな。それじゃあ何があるか見てみるか……へぇ、新大陸風のサンドウィッチにハンバーグステーキ……ホットドッグもあるな」

ちせ「ホット……なに、犬を喰うのか?」人目に付かないようこらえたものの、仰天したような様子のちせ……

ドロシー「貧乏な地域じゃそうだったこともあるって話だが、今はまっとうなソーセージやなんかさ……多分な」

ちせ「……」

ドロシー「大丈夫だよ、心配するなって♪」

ちせ「う、うむ……」

屋台のおやじ「いらっしゃい!」

ドロシー「この、ホットドッグ? とクラブハウスサンドウィッチを下さいな」まだまだアルビオンでは物珍しい新大陸植民地の食べ物を前に、興味津々の女学生といった演技をこなしてみせるドロシー……

おやじ「へい!」長細いパンに手際よくソーセージと刻んだピクルスを挟み、マスタードを付けると紙に包んで出した……

ドロシー「どうもありがとう」

おやじ「またどうぞ!」

…薄紙の包みを持って空いているベンチを見つけると、ちせと横並びに座ったドロシー……しかも手際の良いことに、ちせのためのライムジュースと一パイントのビールも手にしている…

ちせ「いつ買ったのじゃ?」

ドロシー「ん? ああ、サンドウィッチ屋台の隣にあったからな……ま、冷めないうちに食えよ」

ちせ「うむ」ちょっとした辞書ほどもある厚手のサンドウィッチにどうかぶりつくか思案してから、小さな口を目いっぱい開けて頬張った……

ドロシー「はは、美味そうに食うじゃないか♪ どれ、私はホットドッグの方を……」

…少し粉の粗い長細いパンに挟まれた塩気の強いボイルドソーセージに、玉ねぎやきゅうりのピクルスを刻んだ甘酸っぱいレリッシュと、鼻につんと来る黄色いマスタードがちょうどいい…

ドロシー「へぇ、案外イケるな……そっちはどうだい?」

ちせ「うむ、ちと厚手で食いづらいが……むぐ……味はなかなかのものじゃ……」

…ちせが頬張っている新大陸スタイルのクラブサンドウィッチはトーストしたパンにマヨネーズをつけ、七面鳥(ターキー)のスライスとカリッとあぶったベーコン、それにトマトやレタスといった青物がアクセントに挟んで三角に切ってあり、分厚い中身をこぼさないよう悪戦苦闘しながら一生懸命になってかぶりついている…

ドロシー「そうかい、そりゃ何よりだ♪」

ちせ「結構な味じゃが、大ぶりでちと手に余るの……」

ドロシー「そうなったら手助けしてやるよ……お、あいつがいる」お嬢様風の柔らかい微笑をちせに向けながらも、視線の片隅にテンガロンハットの男をとらえた……

ちせ「なに……?」

ドロシー「いや、お前さんはそのまま食ってていい……うかつに視線を向けると感づかれるからな」

ちせ「あい分かった」

ドロシー「……あいつ、どうなんだ?」男は屋台を巡って店主に声をかけたりしながらホットドッグとビールで腹ごしらえをし、口ひげを丁寧に拭うとまたぶらぶらしはじめた……

ちせ「もぐもぐ……奴ではないということか?」

ドロシー「どうかな。まだ確証はないが、私はあいつが臭いような気がしてるんだ……午後もあるから、もう少し監視してみよう」

ちせ「んむ」


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