ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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735: ◆b0M46H9tf98h[sage saga]
2025/05/07(水) 00:54:57.46 ID:78aml/BQ0
山高帽「……おい、待て!」

ステッキの紳士「あいつだ、私の財布を盗ったのは!」

スリ「ちっ、どけ!」

帽子の婦人「きゃあっ!」

…スリの男は人混みをかき分け、まごついている客や邪魔な陳列棚を突き飛ばしながら必死になって展示場の外に逃げだそうとする……たいていの客は関わり合いになるのは御免だと身体を脇に寄せて避けているが、気の強い連中や連れの前でいいところを見せようという若者、正義感の強い紳士などが進路をさえぎったりステッキで転ばせようとしたりして立ちはだかる……スリはそうした妨害をかいくぐり突きのけながら口ヒゲの男が立っている近くまで走ってきた…

中年「うわ!」

商人「気を付けろ!」

ヒゲの男「…」

スリ「邪魔だ!」

…周囲の人波がさっと引く中を出口近くまで駆けてきたスリは姿勢を屈め気味にして、ぼさっと立っているように見えた口ひげの男へタックルをかますように飛び込んでいった……あわやというタイミングで口ひげの男が少し動いたような様子を見せると、次の瞬間にはスリが地面に叩きつけられ、数秒もしないうちに周囲の男たちや慌てて駆けつけた制服警官たちに取り押さえられていた…

ドロシー「なるほどな……ちせ、見たか?」

ちせ「うむ。素人目にはそうとは分からぬじゃろうが、みぞおちに叩き込んでおったな」

ドロシー「ああ。となるとやはりあいつで間違いないな」

ちせ「いかにも」

ドロシー「それにしても大した早業だ、普通に見ていたんじゃ何が起こったか分かりゃしないな……」特徴的な帽子をかぶったスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の警官たちがうむを言わせずにスリをひっくくり連れて行く間に、口ひげの男はフェルトの中折れ帽をちょっとかぶり直し、口ひげを軽く指で整えるとまたぶらぶら歩き出した……

ちせ「してどうする?」

ドロシー「今日はもう切り上げどきだな。こんな騒ぎが起きたんだ、警官だのなんだのが押しかけてきてうるさくなる」

ちせ「承知」

ドロシー「それに、つなぎを付けている連中も何人か目星がついたしな♪」

…メイフェア校・部室…

ドロシー「……さて、と」

ちせ「もう出来上がったのか、手早いものじゃ」

ドロシー「この業界にいる以上は手も早くなくっちゃな……ちょいとメッセージを置いてくる」

ちせ「うむ、気を付けての」

…ロンドン市内・メールドロップ…

ドロシー「……よし」大通りと大通りの間、抜け道として使われないこともないが人通りが多いわけでもない裏道の角に「安全」を示す目印があるのを確かめると、するりと曲がって「ドロップ」に指定されているレンガ塀のすき間に暗号文をしたためた薄紙を滑り込ませる……

ドロシー「あとは返事を待つばかり……と」

………

…

…夕方・コントロール…

L「ふむ……」パイプをくわえて思案顔をしている……

7「どうかなさいましたか?」

L「いや、例の植民地政府のエージェントの事でな」

7「対象は無事に絞り込めましたが」

L「そこまではいい。それと接触していた人間に問題がある……イーグレットだ」

7「内務省付の連絡役でしたか」

L「そうだ。奴自身はさえない小物にすぎんが……普段新大陸のエージェントを担当する植民地省の役人ではなく奴が連絡役ということは、ただの定期報告や資金の受け渡しに来たのではない可能性がある」

7「引き続き調査を?」

L「ああ、相手が内務省となれば小さな事でもおろそかにはできまい。引き続き「D」を使って調査と監視を続けさせろ」

7「はい」

L「場合によっては増員も考えねばなるまい、回せる人間がいるかどうかも調べておけ」

7「かしこまりました」


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