ドロシー「またハニートラップかよ…って、プリンセスに!?」
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◆b0M46H9tf98h
[sage saga]
2025/07/29(火) 02:36:48.63 ID:iqLJzP/j0
…裏通り…
ちせ「ではな」
ドロシー「ああ」
…王国軍による強制立ち退きで無人となりながら、まだ取り壊しの済んでいない建物を伝ってひらりと屋根上に登っていったちせ……ドロシーはそれを見送るとがれきや建物の間をするりと通り抜け、壁沿いを照らす照明を避けながら倉庫に近づいていく…
…数分後…
ドロシー「……ここまでは順調だな」ちらりと見上げた向かいの屋根に一瞬だけちせの黒い影がのぞいた……
ドロシー「ふ、援護があるってのはいいもんだ」
…倉庫の入口は厚手の鉄扉で閉じられているが、床に近い通風用の小窓は侵入者防止にはめてある鉄棒の基部がすっかり崩れかかっていて、ドロシーは画家の使うパレットナイフのような金属ヘラを取りだしてレンガの基部を突き崩していった……崩したレンガの粉を時々「ふっ」と吹き払い、次第にぐらついてくる鉄棒が音を立てないよう片手で支える…
ドロシー「それにしたってカエルじゃあるまいし、地面に這いつくばってこんな真似をするハメになるとはね……」小声でぶつくさいいながらも手際よく作業を進め、とうとう鉄棒が外れた……音がしないようボロ布で包むとそっと脇に置き、そこからするりと倉庫の中へ滑り込んだ……
…倉庫内…
ドロシー「ふぅん……この何日かでずいぶんと規模を増しやがったな」
…高い天井に届くとまでは言わないが、それでも積み上げられた箱や防水布の包みは相当な量になっている……ドロシーはもはや習性になっているエージェントの観察眼でおおよその量や箱に印字された武器の種類をさっと脳裏に納めつつ、爆薬を仕掛けるべく箱の間をすり抜けながら火薬の貯蔵場所に近づいた…
ドロシー「……よし、あったあった」
ドロシー「それじゃあ頼んだぜ……と♪」時限装置のねじを巻いて脱出の時間も考えたギリギリの時間にセットし、無煙火薬の貯蔵箱の間に滑り込ませた……
ドロシー「ふぅ……これでよし、と」
………
…数分後…
ドロシー「……」軽やかな、しかし音一つしない猫のような足取りで入って来た小窓の近くまでやって来たドロシー……
ドロシー「さて、それじゃあおさらばするとしようか……」
声「……おいおい、あいさつもなしに出ていくのかい?」
…突然背後から気さくな調子で声をかけられ凍り付いたドロシー……その声を合図にしたかのように室内の照明が点けられると、暗闇に慣らした目が一瞬くらむ…
声「こいつは驚いた、いつぞやの若いレディじゃないか」
ドロシー「……」
…ようやく明るさに慣れたドロシーがそちらを見ると、例の口ひげの男が帽子を軽く持ち上げた……その横には連絡役とおぼしき例の役人風の男が立ち、左右にも数人の私服が広がって壁を背にしたドロシーを半円状に取り囲んだ…
口ひげの男「こんな夜中に物あさりとは、君もずいぶんと忙しいようだな?」
ドロシー「ああ、貧乏暇なしってやつでね」少しおどけた様子で手を上げた……
役人風「知り合いか?」
口ひげ「数日前に浮浪者の格好でここをうろついていたお嬢さんだ。だから言ったろ、尾行されているって」
役人風「街中で気の利いた早撃ちを見せた誰かさんのおかげだな……失礼だが、武器を預からせていただくよ?」
…軽くあごをしゃくうと私服たちが左右から近寄り、ドロシーの差していたウェブリー・リボルバーやナイフを取り上げた…
役人風「さてと……何の変哲もないウェブリー&スコットだな。これだけじゃどこの情報部員なのか分かりそうもない」
ドロシー「……」
役人風「返事はなしか……何か身分証は持っていないか?」
私服「いえ、これといったものは」
役人風「だろうな。ま、おそらくは壁の向こう側から送られて来たんだろうが……それで、どこまで知らされている?」
ドロシー「……」危機にあっても余裕が生まれる自分なりのおまじない、あるいは生まれついての癖か、ドロシーはにやりと口角をあげた……
役人風「ほう、度胸の据わった女だな」
口ひげ「確かにな……まともな椅子じゃなくて申し訳ないが、良ければ座ったらどうだ?」
ドロシー「ご親切にどうも。でも立っている方が好きでね」
口ひげ「そうかい? まあ好きにするといいさ」
役人風「これからかなり長い間話を聞くことになるし、座った方が楽だと思うがね」
ドロシー「……」
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