106: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/15(火) 07:13:29.26 ID:L8XfZl3U0
勇者(ん……誰かいるのか)
数日前の災難を思い起こす間に、何者かが浴場へ入っていた。
誰何しようとも考えたが――――若干、警戒する。
危害を加えられるような事はないとしても、本能がそうさせた。
漂ってくる、淫魔に独特の花の媚香と気配が……普段よりも、濃く感じられたからだ。
それはあまりにくっきりと嗅ぎ取れたせいで、誰のものなのか逆に掴めなかったのだ。
続けざまに湯煙の向こうからは戯れるような水音が響き、薄紅色の水面が揺れ、散らされた花びらが泳ぐ。
そして、やがて――――誰もいないと思っているのか、歌声が混じる。
調子はずれに、子供じみた節回し、時折忘れた箇所をごまかすように鼻唄に変わり。
勇者(……あいつ)
気の緩んだ拍子に勇者は身じろぎし、水音を立ててしまった。
???「えっ……?誰?」
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