淫魔の国と、こどもの日
��↓ ��1- ��覧 ��板 ��20
175: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/22(火) 03:43:18.05 ID:WTvi5IbN0

穿き慣れない膝丈のズボンの裾から入り込む冷たい空気にはまだ慣れない。
踏み締める朝の庭、濡れた青草はどこか懐かしいものの、故郷の外仕事で踏み締めていたそれとは違い、繊細だ。
鼻腔を広げて吸い込んだ朝露に濡れた青草の香りの瑞々しさは、小さな胸の内を満たしてくれる。
昇った日は赤みを失い、段々と黄金に輝きながら青空へ向かう。
それは――――勇者に既視感を覚えさせた。
そしてすぐに既視感の正体は、あっけないほどに早く解き明かされた。

勇者「あぁ、そっか。――――あの時も、こんなだったかな」

“ぼうけんをはじめた日”の、事だ。
朝早く、日が昇りきらぬうちに、朝ぼらけの空から村を見渡した出立の朝の事。
勇者のいない世界が勇者と魔王の物語の舞台へ変わった、あの日の空の色。

誰も起こさず、朝早くにひとりで村を出た、あの日に似た空を、勇者の小さな目が再び映す。



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