205: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/26(土) 02:10:48.54 ID:3ltYXf/90
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――――話は、ほんの二十分ほど前に遡る。
“狐の酒場”まで辿りついたところでサキュバスAは別口を少し当たると言い残して去り、勇者は一人で聞き込む事になったのが発端だ。
酒場へ訪れても当然営業時間外だったものの、奇怪にも扉は開いており、呼びかけとともに扉をくぐる。
その店内には……見慣れない姿があった。
一番奥の席で、すっかり客の引けた店内の静けさをものともせずに……指先でつまめるほどの、
硝子細工の器を啄むように彼女はひとり嗜んでいた。
入り口の窓から洩れてくるかすかな日差しを受け止め愛でるように、薄暗い店の奥で。
琥珀色の瞳は哀愁に沈んだように潤み、吸い込んだ酒の一口一口に嘆息する儚げな美貌を浮き立たせる。
薄暗い遠目でも見てとれる、重厚な絹を幾重にも織り金銀の糸で刺繍したそれを――――さらに幾重にも重ねて着る、見慣れぬ装い。
長い裾から微かに覗く足首の白さと、指で作る輪に収まってしまうような細さが目を奪う。
澄み渡る、その透明感ゆえ金とも銀ともつかぬ髪がほのかな風に揺れ、ゆっくりと彼女は振り向いた。
???「おぅ……?済まぬな、童。開けてはおらぬ。それに……此処は童の入る場ではない。
迷うたか?ならしばし待たせてやらぬでもない。座るが良い」
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