淫魔の国と、こどもの日
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206: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/26(土) 02:11:41.50 ID:3ltYXf/90

柔らかさの中に格調を感じさせる、細面の吊り目を引き絞り、瞬く。
それだけの仕草が誘因するような、抗えない感覚をも引き起こし――――しかしすんでのところで気を取り直し、椅子を引き、彼女の対面へ座る。

???「……ヒトの童が何故かような地へ。癖の悪い夜魔どもの慰みか?まったく、せわしないの」

勇者「あ、いや……俺は。それより、いつもの給仕は……?」

???「さての。その口ぶりだと一見客ではないか?折角じゃ、付き合え、童」

通りに面した扉と、窓から差し込む日が届いてこない最奥の席が彼女の輪郭をおぼろげなものにする。
気付けば勇者の目の前に小さなグラスが置かれ、その中を透明な液体が満たしていた。
鼻を寄せれば、甘みの強い酒精の香が立ち上るのが分かる。
穀物の発酵臭にかすかに顔をしかめれば……目の前の奇妙な“客人”が、更に目を細め、愛おしむようにじっと見つめている事に気付いた。
その視線は、さながら――――籠に閉じ込めた小さな鼠が懸命に餌をかじる様子でも見ているような悦楽、そして慈しみに溢れていた。

視線に呑まれるようにグラスに口をつけ少量吸い込むと、口の中を、芳醇な甘さが覆い尽くす。
その甘さに覆い隠されてはいても、酒精は高く……まだ飲み込んでなどいないのに、カッと体が熱くなるようだった。



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