54: ◆1UOAiS.xYWtC[sagesaga]
2018/05/10(木) 00:37:00.27 ID:Qe86yV0R0
勇者(腹、減った……何でだ……)
朝食からいい時間も経っていないのに、早くも空腹が襲ってきてしまった。
窓の外を見れば、日はまだまだ低く、室内へ向けてまっすぐ突き刺さる陽射しが投げかけられているのに。
昼食まではまだあるにも関わらず、もう既に胃がカラッポになってしまったような空腹感がやって来てしまった。
勇者(我慢だ。これぐらい我慢。そうだ、こんなの、砂漠で遭難しかけたあの時に比べれば……!)
人間界での旅の苦境を思い出せば、それは耐えられた。
あらためて羽ペンを握るその手を見れば、見るほど――――その小ささに心細さが募る。
“聖剣”を振るっていた手、“魔王”の外殻を切り裂いた手と同じとはまるで思えない。
その手に握っていた魔を微かに震わせれば、青白く帯電させる事はできた。
雷の魔力は失われていない。
ただ――――姿だけが小さくなり、運動能力も子供の頃まで戻ってしまったようだ。
勇者「これ、戻るのかな……はぁ……」
ついた溜め息まで小さく、か細くなってしまっていたせいで、とうとう……紙の一枚も微動だにさせられなかった。
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