6: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/05/20(日) 18:17:20.90 ID:8NRe1KMEo
◆◆◆◆◆
言い訳のようだが、俺は茄子と最初からセックスに及んでいたわけではない。
まして幼児プレイに興じるつもりなどなかった。
茄子は島根の古い神社を継ぐ家の娘で、上京して神職の資格をとっていたところを、
俺が渋谷の街角でスカウトした。今から2年ほど前の話になる。
『アイドルになれば、私の幸運をいっぱいの人に分けてあげることができるでしょうか?』
俺は最初、「幸運」という単語を聞き流した。
美人でありつつ丸っこくて人の良さそうな顔。服の上からでもわかるメリハリのきいたスタイル。
やわらかい印象の物腰――を見てスカウトしたのだ。それ以外は、あまり気にしていなかった。
しばらくして俺は気づいた。
茄子の幸運はオカルトじみていた。
『アイドルのお仕事で、みんなが幸せになってくださるのであれば、嬉しいですね!』
茄子が宣伝で訪れた場所は千客万来。紹介した商品はことごとくヒット。
そんなことが繰り返されるので、俺は茄子を開運アイドルとしてプロデュースした。
幸運の神通力は、意外と長く続いていて、今や茄子は女神のように崇められている。
アイドルとして(?)大成功を収めつつある茄子だったが、
プロデューサーとして一つ気にかかることがあった。
茄子はいずれ実家の神社を継がねばならなかった。
これは茄子の両親との約束だった。
茄子から芸能活動について同意を得てすぐ、俺は茄子とともに彼女の実家へ赴いた。
渋谷の喧騒とは程遠い、カエルや虫の鳴き声ぐらいしか聞こえない山の中だった。
茄子の両親は、ひとまず俺を面通ししてくれた。
父親はちょっと顔の丸い、人の良さそうな色男。白い狩衣がよく似合っている。
母親は良く言えば楚々とした、悪く言えば幸薄そうな女性。茄子は明らかに男親似だった。
『ほぉほぉ……茄子がアイドルに』
俺の説明を、父親の方は面白そうに、母親の方は胡散臭そうに聞いていた。これは珍しいパターンだ。
女性アイドルのデビューを説得する際、二親の反応が分かれることはよくある。
しかしたいていは女親が肯定的で、男親は否定的になる。茄子の両親は逆であった。
『血筋でしょうか。お父さんも昔、芸能界にスカウトされたことがありましたね』
『まぁまぁ、モテたからね。こう見えて』
『女運もたいへんよろしいですしね』
『またまた、僕は母さん一筋だよ』
茄子の母が、父をじろりと横目で睨んだ。
なるほど。彼女が妙に苦労人と見えるのは、モテる亭主を持つがゆえか。
『ところでプロデューサー君は、茄子の体質について知っているかい?』
『体質? 何かアイドルに支障をきたすご病気でも』
『いやいや、茄子はうちの事情もあって、ツイてる子なんだよ』
確かに、茄子は出会ったときから妙に幸運なところを見せていた。
クジのたぐいは必ず特等を当てる。仕事に出るときはいつも晴天。
宣材写真の撮影でカメラの都合が悪くなったときは、たまたま代わりのカメラを貸してもらえた。
このときの俺は「まだ」茄子を「なんとなく、めぐり合わせのいい子だな」としか思っていなかったが。
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