北条加蓮「アイドル『の』オモチャにするクスリ?」
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6: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/07/01(日) 12:21:21.38 ID:bLc77vRJo
●3-02
『ほっといてよ。アタシだってもう一人前のアイドルなんだから』
『加蓮ッ、お前』
奈緒を怒らせるつもりだった。
とりあえず怒って、失望して、放って置いてもらいたかった。
けれど、奈緒は思わぬ言葉を返してきた。
『加蓮がそんなに追い詰められてたら、あの人も悲しむんじゃないか?』
……は?
『あの人って、誰よ。凛? プロデューサー?』
そんな訳はなかった。
奈緒は、アタシ「たち」の担当プロデューサーを、こんな他人行儀に呼んだりしない。
『い、言わせる気かよ、アタシに』
『言わなきゃ、わかんないじゃん』
誰の名が出るか予想できていた。
『――さん。あの、加蓮の前のプロデューサー』
『なんで、アンタがその名前を』
でも、それが奈緒のクチから出たことが、信じられなかった。
『志希から、聞いた。付き合いが長いっていうから』
『アイツ、ッ』
声を荒げちゃった。
誰に対して苛立ってるんだろう。
奈緒か。あなたか。志希か。
『今は関係、ないでしょ』
『何が、だよ』
あの奈緒がここまで無遠慮に突っ込んでくるということは、
きっと志希から『本当はアタシから迫った』と聞かされてるんだろう。
もし『あなたからアタシに迫った』という認識だったら、もっと躊躇するはずだ。
『終わったコトよ』
そして『既成事実』の作り方までは聞いていないんだろう。
知ってたら、寛容な奈緒もさすがにアタシを許さないはず。
『終わったのよ。アンタは、志希とアタシどっちを信用するのさ』
『加蓮が、終わったって態度してないだろ』
『終わったって言ってるでしょうっ』
鎖骨と顎に、何かがあたった。息苦しかった。
一拍遅れて、奈緒に胸ぐらを掴まれてることに気づいた。
やっとアタシは、奈緒を怒らせることができた。
『聞く耳も、話す口もないのかよ、加蓮』
奈緒の視線が刺さるのから逃れたくて、くちびるを引き結んだ。
できるなら、目を閉じて耳も塞ぎたかった。
夜は静かだった。アタシと奈緒のかすかな息遣い以外聞こえなかった。
『……くそっ、なんだよ。帰るっ、もう明日にするっ』
奈緒は人がよくできてて、こんなアタシ相手にも、短い悪態一つつくだけで、
また明日って言ってくれた――それで済ませてくれちゃった。
『こんなアンタとなんかアイドルできねー』ぐらい言ってくれたら良かったのに。
そうしてアタシは、あなたに電話をかけた。
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