北条加蓮「アイドル『の』オモチャにするクスリ?」
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7: ◆FreegeF7ndth[saga]
2018/07/01(日) 12:22:19.32 ID:bLc77vRJo
●3-03
アタシはアイドルを続けるのが限界だった。
それはたぶん心身をボロボロになるまで追い込んでたのが原因で、一時的な不調で、
奈緒の言う通り休んだり力を抜いたりすれば解消するものだった。
でもアタシはそれができなかった。
アタシにとってアイドルをすることは、ただの夢だけではなく、
もっと重いモノが上乗せされていた。それはあなたのせいだ。
だから、あなたにアイドル失格だって罵ってもらいたかった。
そうやって燃え尽きて消えてしまいたかった。
あなたは夜にもかかわらずクルマを飛ばしてアタシを拾いに来てくれた。
おかげで街をふらついていても補導されずに済んだ。
『あなたと初めて会ったときと、今と、どっちのがひどい顔してる?』
昔はこの手に何も無さすぎて、消えてしまいたかった。
今はこの背に重い物を背負いすぎて、消えてしまいたかった。
『新曲の追い込みの時期なのに、アタシったら昔のオトコに連れられて二人きり……笑っちゃうよね。
こんなアイドル、いないよ。いちゃダメだよ。スカウトしてくれたあなたには、悪いんだけどさ』
思えばアタシは最初から行儀の悪い子だった。体力はないし、努力もしないし、冷めた態度だったし。
あなたに一服盛って爛れたセックスを繰り返すし。我ながら、ホントにひどい。
あなたは赤信号で停車しているとき『アイドル、辞めたいか?』と聞いてきた。
『辞めたいかもしれない』とアタシは小さく返した。
そんなコトより、セックスがしたかった。
自分でもどうかと思うぐらい、あなたの痛みと辱めが恋しかった。
でもソレを直に言葉にしてねだれない。今は志希のクスリがない。
シたいといって断られたらと思うと、たまらなかった。
アタシは、信号2つ3つ通り過ぎたあたりで、狡猾な手管を思いついた。
『前さ、志希がクスリばらまいて、問題になったことあったでしょ。実はね、
アタシとあなたが最初にシたとき、アタシはあなたにソレを盛ったんだ……知ってた?』
あなたの心を弄んだんだ。腹を立てて乱暴に犯して欲しかった。
もしあなたがソレを「許してしまったら」どうしよう、と思った。
それぐらいならいっそ幻滅して見捨てて欲しかった。
『まぁ、でもさ、あなたもまんざらでもなかったと思うの。
あなたは、アタシがアイドルで、あなたがプロデューサーだったからダメって言ってた。
つまり、アタシのカラダ自体は、キライじゃなかったよね?』
あなたは黙ってハンドルとシフトレバーを握っていた。アクセルを緩く踏んだ。
どこに向かっているんだろう。
何も言ってくれないのが、今までのどんな荒っぽいセックスよりも、どんなハードな仕事よりも、
ひょっとしたら忘れかけていた病気の発作よりも、身に堪えた。
十字架に組まれた焼け棒杭の燻りがアタシを焦がしていた。
あなたはきっとフロントガラスの向こうを見ていた。
あなたの目の前で、初めて泣きそうになった。
『わかった。どうせ総務も針のムシロだったし。ヤラせろよ。
ただし、今日は加蓮が何をねだってもダメ。俺の好きにやらせてもらうからな』
あたしは携帯で志希にメッセージを打った。
『今すぐアタシのアリバイ作って。そしたら、売られた恨みは忘れてあげる』
志希の宵っ張りに賭けたら、すぐ返事が来てくれた。
『デレぽ見て』
開いてみると、アタシと志希がカラオケボックスの中にいる写真が、ついさっきの時刻でアップされてた。
『加蓮ちゃんとカラオケナイト!』――よく見ると、あたしがクスリを使われたとき、
いつの間にか撮ったであろう写真だった。アイツはホントに人を食ってる。
それに便乗してるアタシが言えた義理じゃないけど。
ともかくこれで、今夜どこに行ってたかはごまかせるだろう。
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