3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/08/16(木) 01:09:11.36 ID:TF1khxEw0
◆◇◆
息を荒げながら体を起こす。さぁさぁと言う音が外からしてて、雨が降っているのが分かった。
「ハァ……ハァッ……」
悪夢だ。最悪すぎる悪夢だ。心臓がバクバクとしている。単純な吐き気と、吐き気とはちょっと違う、こみ上げてくるものがある。
「……あ゛ー」
エアコンはついてるのに汗だくで、それなのに暑くない。不思議で、嫌な感触だった。
「……」
ベッドの上で少しだけ固まった後、重い体を動かす。パジャマを脱いで、いつもの私服に着替えて、寮を抜け出した。
あそこまでの道のりは、もう体が覚えてる。あたしは、傘も差さずに走っていく。雨と汗が混じった水滴が体に張り付いてくる。それがたまらなく不快だった。
靴の中がグチョグチョしだした。足を出す度に、水が靴下の中で暴れるような感覚。それでも走り続ける。
見慣れたマンションに辿り着いた。エレベーターなんてない古いマンションの、三階を目指して階段を駆け上がる。
息を切らしながら玄関の前に立ち、少し強めにインターホンを押した。廊下を歩く音がして、収まりかけていた拍動がまた激しくなり出した。
「……何時だと思ってやがる」
彼は、すぐにあたしを出迎えた。会社じゃ絶対にしないような、Tシャツとハーフパンツのラフな格好をしてる。風呂上がりなのか、髪の毛が湿っていて、シャンプーの香りが雨の匂いに交じって届いた。
出迎えてくれた彼に、何かを言おうとしても、何も言えなかった。結局黙ったままだった。
「……びしょ濡れじゃねぇか……とにかく上がれ」
いつものような、ぶっきらぼうな物言いだった。でも、その声色の奥にある暖かさが、いつも以上に感じられた。
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