10: ◆yufVJNsZ3s
2018/10/19(金) 01:18:40.31 ID:0J++fsfw0
鞄を受け取ろうとしたが、自分で持つと断られた。そこまで困憊していない、というアピールに違いなかった。
言葉を変えればただのやせ我慢。強がりだ。
「……はは」
困ったような笑み。
「どうしたもんかな」
「存分と悩みなさい。どちらも準備はできているわ。あぁ、お湯は少し、追い焚きしたほうがいいかもしれないわね」
がちゃり。重厚な音、と相反するように滑らかに動く執務室の扉。提督は鞄を机の上に、外套を衣紋掛けへとつるし、体を放り投げるように椅子へと座った。
「ふぅ……」
ずるずる、ずるり。体が椅子からも落ちていく。まるで溶けだした氷のようだった。
「何をやっているの、だらしない。他のコに見られたら示しがつかないでしょ」
言いつつ、扉を念入りに閉める。がちゃん、と確かな音。あるじの帰りを待ち望んでいたらしい。
振り向いた私の目に映るのは、提督のくつくつ笑い。口元を手で隠してはいるが、心底愉快そうな、嬉しそうな。
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