2: ◆yufVJNsZ3s
2018/10/19(金) 01:13:56.25 ID:0J++fsfw0
はてと考え、なるほどあるいはと熟慮の末に、そういう可能性もあるかもしれないと至る。もし「それ」が「そう」なのだとしたら、私の背負う罪業はあまりにも大きいのではないか。
別段善良な人間を気取るつもりはない。とはいえ偽悪的なふるまいとも縁遠い。
ただ、私は私に背いたことはないという自負があった。そのように生きてきたし、これからもそうして生きていく。
海沿いの故郷が深海棲艦の襲撃によって壊滅して、WAVEへの道を決めたことも。
第一期の被検体として艦娘計画へ身を捧げたことも。
……指輪を謹んで辞退したことも。
私はちいとも後悔したことがないのだ。
「北上さん」
北上さんはベッドの上で横になりながら、自らの顔と蛍光灯の間を遮る形で本を掲げ、けたけた笑いながら読んでいた。腕が疲れないものだろうか、と思う。
きっと彼女はおおよそ私とは違う人種なのだ。笑ったり、泣いたり、怒ったり。感情の発露の先にこそ快楽があるのだというふうに、力いっぱいに表情を変える。いまだってそう。眼尻に涙さえ浮かべて、私の存在などお構いなしに。
劣等感こそないけれど、そこには確かに羨望の情があった。そして、羨望があるということは、私は少なからずそうなりたいと思っているのだ。彼女に近づきたいと考えているのだ。
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