渋谷凛「きっと、こういう日々が積み重なって」
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3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/11/16(金) 03:05:38.77 ID:p3JDxvnj0
 凛は車の鍵を操作して、ドアのロックを解除する。

 そのまま滑り込むようにして後部座席へ乗り込んだ。外の様子をちらりと見やり、男がこちらを向いていないことを確認する。

 よもや覗くなどはしまいが、気になるものは気になってしまう。

 そうして安全を確かめると、凛は衣装を破いてしまわないように慎重に着替えを始めた。

 低予算で拵えたものではあるものの、この漆黒のドレスと紫の花の髪飾りとシューズが、現在の彼女の唯一の衣装であった。

 この衣装は、凛の担当プロデューサーが知人を頼ってデザインを練り、製作したものである。

 当初のデザイン案ではドレスのフリルもさらに多く、靴も豪奢なブーツであったのだが、所属する事務所からの予算が下りず、泣く泣くダウングレードしたものを発注することになった過去を持つ。

 加えて、なんとかドレスとシューズを発注したところで予算が尽き、髪飾りは諦めるほかなかったのであるが、そこへ凛の担当プロデューサーが私費を投じて、用意させたのだった。

 故に、凛はこの衣装を大変、大事にしていた。

 できる限り皺にならないように、と丁寧に畳み、紙袋に収納する。

 汗を拭いてから、代わりに取り出した私服をもそもそと身に着けて、車を降りた。



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