とある妄想科学の猟奇殺人(ニュージェネレーション)
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61:名無しNIPPER[saga]
2018/12/07(金) 00:50:36.91 ID:BiscX6p50
「……テ、メェが……」

「――――良か、った……」

女の呟きに俺はゾクッと背筋が冷たくなる感覚を覚えた。
……良かった、って何だよ。何が良かった、なんだよ。

(良いことなんて……一つもねぇだろうが……っ!!)

気が付くと、女は涙を流していた。
……一体何が、起きてるっていうんだ。

俺はどうすればいい?
こいつをぶん殴ればいいのか?
そうして、捕まえて、警備員にでも引き渡せばいいのか?

状況が不可解すぎる。
身体に怖気が走っている。
この女のことが何も読めない。何を考えていて、次にどう動くのかも。

どれくらいの時間だったか。
俺と女が向かい合ったまま時間だけが過ぎていった。
少しすると女は表情を変えて、そして一目散にどこかへと走りだした。

「お、おいッ!! 待て!!」

思わず追いかけようとして、視界に入った無残な光景に足を止めた。
……俺がやるべきことを、考えろ。

俺は刑事でも何でもない。まずすべきは間違いなく通報することだ。
それに……こんな有様でいつまでも野晒しにして放置するのは、あまりに不憫だ。
俺はぐっと拳を握りしめ、思わず自分の唇を噛んで。

「ちくしょう……っ」

誰に言うでもなく呟いて、思わず凄惨極まる死体から目をそらして警備員へと通報した。
繋がるまでの僅かなコール音をこれほど長く感じたのは初めてだった。


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